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紀州のドン・ファン裁判が「超難航しそう」な訳 和歌山カレー事件と共通する「状況証拠で逮捕」

東洋経済オンライン / 2021年5月1日 12時0分

野崎幸助氏(右)と元妻の須藤早貴容疑者=2017年12月(写真:吉田隆/共同通信イメージズ)

“紀州のドン・ファン”と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家で会社社長の野崎幸助氏(当時77)が、2018年5月に自宅で不審死した事件で、和歌山県警は東京都品川区に住む元妻の須藤早貴容疑者(25)を殺人と覚醒剤取締法違反の疑いで4月28日に逮捕した。

野崎氏は、2016年に出版した自伝で、スペインの伝説上の好色放蕩な男「ドン・ファン」を自称し、“美女4000人に30億円を貢いだ男”として世間の注目を集めた。その“紀州のドン・ファン”が2018年2月に55歳も年の離れた須藤容疑者と結婚。そのわずか3カ月後の5月24日に不審死を遂げる。

当日は、田辺市の自宅で家政婦が鍋料理を用意した後に外出。夫婦がふたりで夕食をとった後、午後10時半ごろ、2階の寝室のソファに仰向けに倒れているのが見つかり、須藤容疑者が119番通報。その場で死亡が確認された。

解剖の結果、胃の内容物などから致死量を超える覚醒剤成分が検出。死因は急性覚醒剤中毒、死亡推定時刻は午後9時ごろとされた。遺体に注射の痕はなく、覚醒剤成分が長く残留する毛髪の検査で異常がなかったことから、県警は覚醒剤を口から飲ませられたと判断。防犯カメラの映像などから、何者かが侵入した形跡もなく、夕食以降に家にいたのは紀州のドン・ファンと若い新妻の2人だけだった。

■脳裏に浮かんだ「和歌山毒物カレー事件」

あれから3年経っての突然の逮捕劇。須藤容疑者は任意の聴取で一貫して関与を否定していたが、県警が須藤容疑者のスマートフォンを解析するなどしたところ、事件前にインターネットで覚醒剤について検索していたこと、SNSで連絡を取った密売人と田辺市内で会ったとみられることが判明。事件当日、2人きりのときに入手した覚醒剤を飲ませたとみて、逮捕に踏み切ったとされる。

だが、この逮捕は裏を返せば、状況証拠の積み重ねによるものでしかない。飲ませたという目撃証言もなければ、今のところ自供もなく、動機もわかっていない。容疑者と犯行を裏付ける直接証拠は何もない。

そこに浮かぶある事件との不思議な共通点。和歌山、毒殺、状況証拠、女性……とくれば、すぐに私の脳裏をよぎった。

和歌山毒物カレー事件――。和歌山地方裁判所で傍聴した、表情も変えずに裁判に臨む林真須美死刑囚の姿を、今でも覚えている。

あの事件は、今回の事件のちょうど20年前の1998年に起きた。7月25日の夕方に、和歌山県和歌山市園部で行われた地区の夏祭り。そこで振る舞われたカレーを食べた67人が急性ヒ素中毒となり、そのうち自治会長の男性(当時64)と副会長の男性(当時53歳)、小学校4年生の男子児童(当時10歳)、高校1年の女子生徒(当時16歳)の4人が死亡した。

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