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黒船「OYO」、不動産賃貸の手痛い挫折が残す教訓 DXの「理想」に立ちはだかった「現実」のハードル

東洋経済オンライン / 2021年5月13日 10時0分

OYO Japanは参入からわずか2年で不動産賃貸事業から事実上の撤退となった(記者撮影)

浅瀬に乗り上げた不動産業界の「黒船」は、船長を交代して再出航した。

宿泊事業・不動産賃貸事業のOYO Japan(オヨ・ジャパン)は4月27日、同社の不動産賃貸事業を上場不動産会社の霞ヶ関キャピタルなどに承継させると発表した。契約は3月30日に締結しており、6月1日から効力が発生する予定だ。

「不動産テック事業への参入を模索していたときに、タイミングよく(OYOから事業承継についての)打診が来た」。霞ヶ関キャピタルの緒方秀和取締役はこう話す。

同社が7割を出資する子会社・KC Technologiesが受け皿となり、今年6月よりOYO Japanの不動産賃貸事業を会社分割により取得する。事業の取得価格は非公表だが、KC TechnologiesにはOYOも一部出資する予定で、その株式持分が実質的な取得対価となるようだ。

敷金・礼金・仲介手数料は無料、契約手続きはすべてスマホで完結――。

デジタル技術を駆使して賃貸住宅業界の合理化を図ろうと、インド発のホテル運営会社・OYOが日本で不動産賃貸事業を始めたのは2019年3月。業界を呑み込まんとする急拡大の姿勢から「黒船」とも目されたが、わずか2年で不動産賃貸事業からは事実上撤退する。OYOの2年間は何だったのか。

■入居手続きをデジタル化する

「日本の賃貸住宅市場は約12兆円もあるが、合理的な商品やシステムが成熟していない」。2019年3月、OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN(現OYO Japan)の勝瀬博則CEO(最高経営責任者、当時)は東洋経済の取材に、参入の狙いをこう語っていた。

インドのほか、インドネシアや中国など当時8カ国でホテル事業を展開していたOYOは、ホテル特有の簡便な契約手続きと明朗会計を、日本の賃貸住宅の商品性や入居手続きに応用できないかと考えた。

「3日滞在するならホテルで、1カ月住むなら賃貸住宅なのか。アメニティがあったらホテルで、何もなかったら住宅なのか。そこに厳密な違いはない」。勝瀬CEOはそう意気込んでいた。

わざわざ仲介店舗に出向いて書面で契約を交わす手続きや、敷金・礼金・仲介手数料・退去時の原状回復費用といった家賃以外のさまざまな負担。賃貸住宅の商慣習は入居者にとってわずらわしく、デジタル化の余地があるとOYOはにらんだ。

そこで、自社物件を対象にスマホ上で入居手続きが完了するプラットフォームを構築。気軽に入退去ができることをウリに、生活の拠点を転々とする新しい生活スタイルを提案した。ソフトバンクグループからの出資も追い風に、「全国100万室を確保する」という野心的な目標を掲げた。

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