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JAL、大赤字なのに「強気中計」を出す複雑事情 頼みのLCCも「劣等生」の寄せ集めで前途多難

東洋経済オンライン / 2021年5月14日 7時0分

出張需要を多く取り込んできたJAL。コロナ後を見据え今後はより低単価なLCCを強化する構えだが、課題は多い(記者撮影)

巨額増資で毀損した株主価値を取り戻せるか――。

日本航空(JAL)は5月7日、2021年3月期決算を発表。売上高が4812億円(前期比65%減)、EBIT(利払い前・税引き前損益)は3983億円の赤字(前期は888億円の黒字)に転落した。旅客数への新型コロナウイルスの影響が深刻で、国際線が前年比96%減、国内線も同66%減と凄惨な結果だった。最終損益も、2012年の再上場以来初めて赤字に沈んだ。

決算以上に注目を集めた2022年3月期の業績予想は、新型コロナの収束が見えず、合理的な見積もりが困難として開示しなかった。

競合のANAホールディングスは前月、2022年3月期について黒字予想を発表。今年7~9月には国内線の旅客数がコロナ前と比べ15%減まで急回復する前提だ。が、JALの菊山英樹専務はこうした国内線の戻りについて「なかなかそういう想定は難しい」と言及。今期でのJALの黒字化は至難の業となりそうだ。

■のしかかる「巨額増資」の重荷

一方、JALはANAが発表を見送った中期経営計画を発表。2024年3月期には、目下の大赤字から一転、EBITを1700億円の黒字にし、2026年3月期には同1850億円程度に引き上げる目標を掲げた。コロナ影響を除く2020年3月期のEBITが1320億円の黒字だったという概算を踏まえれば、中計の達成にはコロナ禍からの復活以上の成長も必要になる。

今期の業績予想を開示しない慎重姿勢とは裏腹に、なぜ強気な中計を打ち出したのか。背景には、コロナ禍で繰り出した「ウルトラC」により経営陣が背負った重荷の存在が透ける。

JALはコロナ禍において、巨額赤字で自己資本が急減する危機に直面していた。そこで2020年11月、事業計画を提示できぬまま公募増資を発表。1829億円の資本増強を実施し、2021年3月末の自己資本比率を何とか45%(前期比6.2ポイント減)に保った。

菊山専務は1月に東洋経済のインタビューで「環境が激変して、もう二度と(公募増資に)打って出られなくなるリスクとてんびんにかけた結果だった」と増資の背景を明かしている。

公募増資などで1億株を新規に発行した結果、発行済み株式は約3億3700万株から3割近く増えた。依然として株価がコロナ前比で約30%落ち込む中、経営陣にとって株主価値の回復は喫緊の課題といえる。

株主に報いるべくJALが強く意識する指標が、EPS(1株当たり純利益)だ。実は2024年3月期のEBIT1700億円という高い目標値も、ここまで稼げばEPSが260円、つまり「ほぼコロナ前と同じ水準になることを意味している」(赤坂祐二社長)。

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