1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

松たか子「テレビの枠に収まらない」大女優の格 「告白」以降際立つ「問題のある女」演じる解放感

東洋経済オンライン / 2021年5月15日 14時0分

女優・松たか子の魅力の真髄とは?(写真:Junko Kimura/Getty)

女に生まれて、悔しく思ったことはあるだろうか。後継者は男、伝統的に男、因習として男。長い歴史と伝統を担う不平等な男系社会で、生まれながらにガラスどころか鋼鉄の天井。打破しがたい、太刀打ちできない性差の壁に、歯ぎしりや舌打ちをしなかっただろうか。壁に向かって毒づいたり、世を呪ったりしなかっただろうか。梨園と皇室に生まれた女性には、つい勝手な思いを寄せてしまう。愛子様、寺島しのぶ、松本紀保……そして今回の主役・松たか子だ。

■一見、順風満帆な芸能生活だが…

10代後半からテレビドラマや舞台に出演し、映画『四月物語』の主演もはたす。20歳で歌手としての活動も始め、紅白歌合戦にも出場。誰がどう見たって「マルチな才能で活躍する梨園のお嬢様、順風満帆な芸能生活」だ。

世間が初期の頃の松たか子に求めたのは「深窓の令嬢」「良家の子女」感。たたずまいに品があるし、育ちのよさが感じられる。無駄な脂肪もないが、過剰な痩せ願望とも肉体労働とも無縁の、ほどよく優雅な体型。格式と伝統を無駄に重んじる家柄の老人が、いかにも好みそうなルックスだ。

「お嬢様」「奥様」と、決して名前を呼ばれることのない女性像、昭和の奥ゆかしい時代を生きた女性を体現するのに最適だった。非・流行の顔というか、すたれることのない正統派の顔立ちだ。

ドラマ『古都の恋歌』(1997年・TBS)では、母(浅野ゆう子)の不倫を「付け文」でうっかり気づく、勘のいい娘を演じていた。不倫相手は初老の教授(山崎努)とわかり、憤りを直接ぶつけにいくきまじめさと気の強さもある。とはいえ、暴力と監視で母をねじ伏せる父(内藤剛志)から母を守る優しさもある。母の不倫を通して、「女の業」を娘の視点で描く作品だが、あのときの松たか子は確かに適役だった。

余談だが、映画『小さいおうち』では、逆にひそかに不倫する母親の役を演じており、この『古都の恋歌』とセットで観ると感慨深いものがある。

そういえば一時期、なぜか喫煙者の役を演じることが多く、ヘビースモーカーの象徴ともされていたと記憶している。昔、取材した禁煙外来の医者が松たか子の顔を「スモーカーズフェイス」としきりに糾弾していたことを思い出した。個人的に恨みがあるのか、喫煙ドラマの弊害を訴えたかったのかはわからないけれど。

実父・松本白鸚(九代目 松本幸四郎)と共演、父娘を演じて話題になった『烏鯉』(1998年・TBS)では、司法試験をあきらめて恋人とパン屋を開く娘の役だったが、父にさりげなく喫煙を止められるシーンがあった。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング