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日給3万「ワクチン仕事」に看護師が苦悶する理由 フリー看護師が見た「コロナ待遇格差」の実態

東洋経済オンライン / 2021年6月12日 11時0分

看護師の間で起きる「待遇格差」。その驚くべき実態とは?(写真:Bloomberg)

長引くコロナ感染拡大を現場で支える医療従事者たち。彼らを今、驚くべき「給与格差」が戸惑わせ、混乱を引き起こしている。

フリーランスの看護師として働くAさん(40代)。昨年8月から全国の病院のコロナ病棟やクラスターが発生した高齢者施設、軽症者療養用のホテルなどで働いてきた。

目の前で何人もの患者が命を落としていく厳しい現場も体験した。そこで見たのは、命に直結するような過酷な現場ほど、看護師が足りないという現実だった。

一方、ワクチン接種の現場や軽症者療養ホテルなど、重症病棟に比べれば「それほどキツくない」(Aさん)現場は、人を集めるために高給を提示され、一種の「コロナバブル」が起きているという。

いったい今、何が起きているのか。

■クラスターが発生した高齢者施設で見た「現実」

5月下旬。Aさんは中国地方のクラスターが発生した高齢者施設に、NGOからの要請で応援に入った。それまで十数人いたスタッフは1人を残して他の部署に異動していて、圧倒的に人が足りない状態だった。

利用者の中には3週間入浴できておらず、シーツが交換されていない人もいたという。人手不足から、利用者が転倒して亡くなるという事故も起きていた。

応援に入ったAさんは数日間、毎日朝7時半から夜20時30分まで働いた。他のスタッフも8日連続勤務、5日連続夜勤という過酷な勤務状況だった。

引き金は、あるスタッフからクラスターが起きたことだった。利用者に感染が拡大し、その本人はもちろん、濃厚接触したスタッフも休まねばならなくなった。こうして極端な人手不足に陥り、残ったスタッフの勤務状況は過酷になるという悪循環に陥った。

「スタッフは自分から感染させてしまったと激しい自責の念にかられ、利用者の家族からも感染させたことを責められます。高齢者施設のスタッフはもともと待遇がよくないのに、自身も感染リスクにさらされながら働き、疲弊しています。こうした状況に、自身の家族から反対されて、退職を選ぶ人もいます」(Aさん)

幸い、Aさんら応援スタッフが入り、施設を感染リスクの有無でゾーン分けしたり、防護服の着脱を指導したりするうちに状況は落ち着いてきた。しかし、その中でAさんはこの1年弱感じてきた“矛盾”を再認識した。

Aさんは派遣元であるNGOから1日2万円という報酬を受け取っていた。1日12時間働いていたが、宿泊費など実費も別途、支給された。もともとその施設で働いていた職員の給料に比べると、フリーのAさんのほうがはるかに条件がよかったのだ。

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