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慎重なトヨタが「HV開発」で他社に先行できた理由 経営陣の無茶ぶりなくして「プリウス」はなし

東洋経済オンライン / 2021年6月28日 18時0分

トヨタが世界初でHVを発売できたのは、開発陣の努力の賜物ではあるが、そこに関わった人たちの将来を見据えた目標設定の妙味だったともいえる。

■エコカーの代表となった「プリウス」

プリウスは一躍、エコカーの代表選手として注目を浴び始めた。2000年代に入り、2代目プリウスが発売されると米国ではレオナルド・ディカプリオらハリウッドスターが乗り始め、ステータスシンボルになった。まるで10年ほど前にテスラのEVを米国のセレブたちが乗り始めたようなブームとなった。

HVはエコカーの象徴のような立場となったが、当時はEVや究極のエコカーと呼ばれていたFCVが登場するまでの「中継ぎ」だと見られていた。しかし、予想は大きく外れた。「究極のエコカー」といわれたFCVや過去から存在したEVが利便性のあるエコカーになるにはなお時間がかかったからだ。

例えばEVのバッテリーは2000年代初頭まではニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池が主流で、1回の充電で走れる距離はせいぜい100km余り。100km走って、そのたびに何時間も充電する(急速充電なら30分程度)のは実用的ではない。実用化のメドが立ち始めたのは高密度に充電できるリチウムイオン電池が誕生してからだ。自動車に搭載され始めたのは2010年前後のころである。

テスラが2008年にリチウムイオン電池を搭載した「ロードスター」を、三菱自動車が2009年に電気軽自動車「i-MiEV(アイミーブ)」を、日産自動車が2010年にグローバル展開を目指した世界初の量産車として「リーフ」をそれぞれ発売した。

しかしその後も2010年代後半に入るまでEVは低迷する。価格が高いことや航続可能距離の短さ(200km程度)、充電時間の長さ、バッテリーの劣化問題などが改善せず、普及に弾みはつかなかった。

FCVに至っては、これまで量産車として発売に踏み切ったのはトヨタの「MIRAI」やホンダの「クラリティ」のほか、メルセデス・ベンツなどで数少ない。FCVは普及段階とはいえない状態が今も続いている。

こうした状況の中でHVはガソリン車に比べ2倍ほどの燃費を誇る現実的なエコカーとして、今日まで日本だけでなくグローバル市場でシェアを伸ばし、2020年のグローバル市場において電動車の中で50%を超えるシェアを維持している。

1997年に誕生したHVは発売から20年以上たっても電動車の市場で中核的な地位を保っている。それはHVを世に出したトヨタにとっても当初想定もしていなかった事態かもしれないが、この間のトヨタ得意の改善努力のなせる業だったともいえる。

■トヨタが今も「EV」にこだわる理由

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