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1年で激変!「命令」をやめた組織で起きたこと 米海軍で屈指の潜水艦艦長が見せた圧巻の改革

東洋経済オンライン / 2021年7月5日 12時0分

その後数年間は乗艦勤務から離れたが、1989年、弾道ミサイル搭載原子力潜水艦、ウィル・ロジャーズの機関科長として再び海に出ることになった。そのときの私は、リーダーシップのことはある程度わかっていると思っていた。だが実際は違った。

ウィル・ロジャーズでの勤務は散々だった。艦内は、絶望的なまでにトップダウン方式のリーダーシップに支配されていた。誰もがが、そこから逃げ出したかった。

その状況を変えるため、私は乗員がもっと艦の働きに関わるようにしたいと考え、権限の分散を試みた。私がそれまでに学んだ「部下を鼓舞し権限を手にできる」あらゆる方法を駆使したが、彼らの仕事ぶりや士気を高める効果はどれにもなかった。むしろそのせいで、もっと多くの問題を抱えるようになった。

何がいけなかったのか、私にはまったくわからず、しばらくすると、部下に分散させた権限を自分の元へ戻した。彼らだけにプロジェクトを任せることも、何かの決断を委ねることもいっさいしなくなった。

ウィル・ロジャーズを離れてから8年後、私はサンタフェの艦長に就任した。最新型の攻撃型原子力潜水艦の指揮を執るという重責だ。

私が指揮を執ったとき、サンタフェの乗員は、知識面でも、操作面でも、精神面でも、潜水艦部隊の底辺にいた。ここで直面した問題はウィル・ロジャーズで苦しめられた問題とよく似ていて、いずれも基本的にはリーダーシップに関わるものだった。

私は、ウィル・ロジャーズでの失敗を踏まえたうえで、リーダーが部下に責任を委ねる、新しい形のリーダーシップを導入した。

「委ねるリーダーシップ」を艦内に浸透させると、1年もしないうちに状況はすっかり変わった。ほとんどの面での評価が、最低から最高にかけあがったのだ。私が最も重視する指標である、下士官兵や士官の残留率も例外ではなかった。私たちは、徐々に進化を遂げながら、革命と呼べるほどの成果を上げたのである。

■10年後にも圧倒的な成果を出す

私が艦長に就任しているあいだ、サンタフェはすばらしい働きを見せた。ただそれだけだったら、書店の棚の大半を占めている、リーダーという個人を中心としたリーダーシップ物語と何も違わない。

本当の意味での成功は、10年後の働きぶりを評価して初めてわかる。サンタフェは10年経った時点でも優れた働きを続けていて、士官も下士官兵も信じがたいほどの高確率で昇進を遂げた。これこそ、委ねるリーダーシップを通じて受け継がれていくものなのだ。

「委ねる」リーダーシップは、「命じる」リーダーシップと構造から根本的に違う。

その中核には「誰もがリーダーになれる」という信念がある。リーダーシップを、限られた人だけが持つ特殊な資質だと思うのは間違いだ。人間なら誰もが持ち合わせている。それを仕事のあらゆる面で発揮してもらうのだ。

誰もが自分の仕事に満足している世界を思い浮かべてみてほしい。そこは、誰もが自分の知力を存分に発揮し、自分を高めたいという意欲に満ちあふれた世界だ。人間という種に授けられた認知の力を存分に使い、目の前に問題が現れるたびに解決していく姿がそこにはある。

突き詰めれば、本書は、既存のリーダーシップ構造が機能しない現在の環境にあって、仕事に不満を抱えるすべての人にとって行動を起こすきっかけとなるものである。

L デビッド マルケ:米海軍攻撃型原子力潜水艦「サンタフェ」元艦長

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