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言論弾圧だけじゃない「香港統制強化」隠れた課題 軍艦の補給や休養ができる代替港探しが急務に

東洋経済オンライン / 2021年7月15日 10時0分

7月1日に返還から24年、「香港国家安全維持法」施行から1年が経った香港(写真:ロイター/アフロ)

中国が香港への統制を強めることになった「香港国家安全維持法(国安法)」が2020年7月1日に施行されて1年が過ぎた。言論や政治活動への締め付けに注目が集まりがちだが、実はこの国安法は、各国の軍事にも大きな影響を及ぼしている。中国防衛駐在官(駐在武官)も務めた、自衛隊きっての中国ウォッチャーが切り込む。

かつて香港はさまざまな国の軍艦が訪れる自由港であった。東南アジアと北東アジアを結ぶ航路の途中に位置し、イギリス植民地時代にはイギリス極東艦隊の母港でもあった香港は、燃料や食料の補給や船体の整備、乗組員の休養に最適な港湾だ。

そのうえ、イギリス統治時代から帯びる西洋的な自由主義的価値観と中国大陸の文化を併せ持ち、欧米はじめ遠方からアジアを訪問する軍艦乗組員にとっては、中国文明に触れる窓口としても最適なエキゾチックな港町であった。

中国政府は1997年の返還以降も、つい最近まで香港への軍艦訪問を一部の例外を除いて広く認めており、多くの国の軍艦が香港に寄港した。とくに、アメリカ海軍艦艇の香港寄港は突出しており、1984年の中英共同声明に約束された香港の「高度な自治」に対する支持を象徴する活動であったとも思われる。

少なくとも2016年以前はアメリカだけを取り上げてみても年平均10隻を超える軍艦が毎年香港に寄港していた。そのため、米海軍艦艇の香港寄港に係る補給、整備、休養などに必要な業務に従事することを主たる目的とした組織や企業が香港には存在していた。

頻繁に寄港する米海軍将兵と開放的でホスピタリティーに優れた香港市民との交流は多種多様に繰り広げられ、香港市民も彼らを通じてアメリカ社会を感じてきた。乗組員の中には寄港に合わせて家族を香港に呼び寄せて休養を楽しむ者も少なくなく、米海軍では香港への「寄港」を「帰港(Return)」と呼び表すほどだった。

しかし、各国軍艦の乗組員やその家族に中国への親近感や憧憬を生み出してきた中国文明の窓口としての自由港・香港は、2020年7月1日に施行された「香港国家安全維持法(国安法)」によって完全に失われた。

国安法施行以降、香港で続く一連の出来事によってこれまで享受してきた香港市民の自由は大幅に制限されているようである。国安法が規定する犯罪行為が具体的に何を意味するのかが明確でない限り、香港市民が外国軍人に近づくことは、その後の彼ら市民自身の人生を危うくしかねない行為の1つになりかねない。

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