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認知症の親が増え跋扈する「成年後見ビジネス」 家族を向こうに弁護士や司法書士たちが群がる

東洋経済オンライン / 2021年7月31日 8時30分

成年後見人が本人の意向を聞いてくれるとは限らない(写真:maroke / PIXTA)

ある日突然、弁護士が自宅に来て、こう言った。「家庭裁判所によってあなたに後見人が付くことになりました。私が後見人です。あなたにご自分の財産を動かす権利はありません」━━。

2000年4月から介護保険制度と同時に始まった「成年後見制度」。今や介護保険は在宅サービスで約400万人、施設サービスで約95万人の利用者がおり、すっかり社会に定着した。だがそれとは対照的に、成年後見の利用者はわずか23万人にすぎない。そればかりでなく、「こんなことなら利用しなければよかった」との声すら聞こえてくる。

『週刊東洋経済』7月26日発売号では「相続の新常識」を特集。成年後見制度だけでなく、相続から生前贈与の行方、親族間の揉めるトラブルまで、超高齢化社会が抱えるさまざまな問題点を取り上げた。

■本人の権利を制限、意思も反映されず

成年後見制度とは、認知症の高齢者や知的・精神障害者などの財産を守り、その活動を支援するために作られたものだ。これには任意後見と法定後見の大きく2種類に分かれる。

任意後見では、本人に判断能力があるうち、信頼できる人に「自分が認知症になったらこうしてほしい」と希望を伝え、契約を締結する。契約を結んだ任意後見人は、依頼者本人が認知症になったと判断したら、家裁に申し立て。家裁は任意後見人の活動を支えるために、任意後見監督人も選任する。

一方の法定後見では、認知症などで本人に十分な判断能力がなくなった後、家裁が職権で法定後見人を付ける。法定後見の申し立てができるのは、本人や4親等内の親族、市町村長など。申し立てを家裁が審理した後、法定後見人を選任するというわけである。

成年後見人がつくと、本人の権利は、大幅に制限されるのが一般的だ。スーパーなど日常の買い物以外の経済行為は、成年後見人が代理で行い、公務員や医師、弁護士などの資格も失う。

問題なのは、任意後見も法定後見も、どうしても本人の意思が反映されにくいことだ。それを利用した成年後見人による不正件数は、直近でピーク時の年800件台より減ったとはいえ、現在も年200件前後ある。

そして最大の問題は、「親族以外の後見人」が増えている点だ。

開始時こそ、日本らしい家族中心主義の伝統にのっとって、後見人には親族が選任されていた。ところが、「いずれ自分が使うお金だから」と、親族による財産の横領が頻発。監督責任が問われるのを恐れた最高裁判所は、以降、親族を後見人から外し、司法書士や弁護士などの法律専門職を選任する方向に舵を切ったのである。

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