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アフガンで「イスラム国がテロ」の意味すること タリバン、IS、アルカイダの複雑な関係

東洋経済オンライン / 2021年8月28日 9時30分

一方で、タリバンは、国際的な国家承認を得ようと、女性の権利尊重や秩序回復への取り組みなど表向きは穏健姿勢を示しており、少なくとも指導部の言辞は20年前と比べて大きく変わっている。アメリカと交渉を行うなどタリバンは極めて現実主義的、実利主義的なところがある組織と言えよう。

■タリバンからIS-Kに鞍替えする戦闘員も

タリバンは8月末を期限とするアメリカ軍の撤退を妨害したりせず、円滑な撤退に協力する姿勢を示している。アメリカ政府は、タリバンと交渉のパイプを持っており、タリバンのナンバー2、バラダル師が8月23日にカブールで、中央情報局(CIA)のバーンズ長官と秘密会談を行っている。

バラダル師は2010年にパキスタンで拘束されたが、交渉相手として適任と判断したトランプ政権の働き掛けで2018年に釈放されており、アメリカとしても利用価値が大きいと判断しているようだ。消息筋によると、バラダル師は滞在していたカタール・ドーハから米軍機でアフガン入りしたとの情報もある。

ただ、タリバン指導部の国際社会の懸念に配慮した発言や姿勢とは裏腹に、各地でタリバン戦闘員による女性の権利侵害や旧政権関係者の処刑などの蛮行が目立っている。アフガニスタン専門家は「タリバンは統率の取れた一枚岩の組織ではなく、現場レベルの戦闘員まで指導部の方針や声が届いていない可能性もある」と分析する。

IS-Kは、タリバンを資金面で凌駕しているとの話もあり、現場の戦闘員は給料や組織の勢いを重視して思想面をあまり考慮せずにタリバンからIS-Kに鞍替えするケースもあるといわれる。

今回の自爆テロは、タリバンが治安維持に当たっていた警備の厳重なカブールで起きている。タリバンの強硬派であるハッカニ派などタリバン内にはアメリカとの交渉に反発する勢力もいるとみられる。

加えて、現場レベルの戦闘員にまで十分に意思統率されていないこともあり、自爆テロには、タリバン戦闘員の協力があった可能性も否定できない。国際承認を焦って穏健路線を打ち出したタリバン指導部の方針に基づいて、末端の戦闘員が統一して動いているかどうかは疑わしいというのが実情だろう。

ISは、2003年のイラク戦争を機に創設されたアルカイダ系組織を母体とし、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)という名称を経て、2014年6月、シリア内戦やイラク戦争の混乱で中央政府の支配が揺らいだ両国の一部地域を領土とするカリフ制国家「イスラム国」の樹立を宣言。レバントとはイラクやシリアなど地中海東部地方の歴史的な呼称だが、世界進出を狙ってイスラム国という普遍的な名称に改変した。

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