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「塾ゼロ中学受験」母子家庭の少女が直面した現実 母子家庭で地方在住、というハンデを抱え…

東洋経済オンライン / 2021年9月1日 12時0分

県の学力調査のときには国語の基礎と応用で、それぞれ満点を取っていた。教員生活20年というベテランだった担任も「こんな成績をとる子ははじめて見ました」と舌を巻くほどだったという。

「受験をしたいと言い出したのには“もっと難しい勉強をしたい”という気持ちもあったのかもしれません」(茜さん)

しかし、母親の茜さん自身は地元の高校と、専門学校を卒業しており、中学受験の経験はまったくない。そのうえ、母子家庭という状況で、私立の中学に通わせるのは経済的にも苦しい。

そこで、大卒の姉の明里さんに相談したところ、地元で進学校として名の通っていた公立高校が、近年は学業的にはかなり廃れていることがわかった。

母親の時代には7時間目まで授業が組まれ、「この学校に行けば、塾にいかずとも国立大学が狙える」と定評のあった学校だったが、「今はだいぶ変わったようで、進路実績を見ると、ほんのわずかしか国立に合格者が出ていなかったんです」(茜さん)。

■全国的に広がる公立一貫校

その変化をもたらしたのが、亜矢さんの自宅からも通学圏内にある、ある公立中高一貫校だった。それまで、中堅の進学校として知られてきた学校だったが、10年ほど前にこの地域初の公立中高一貫校として中学校が併設されると偏差値はうなぎ登りに。国立大学をはじめとする難関大学合格者を多く輩出するように変貌した。

こうした公立中高一貫校の開設が、全国で多く見られるようになっている。1999年に文部科学省が学校教育法の一部を改正、中学校と高等学校の中等教育を一貫して行う教育を選択的に導入できるようにしたことをきっかけに、中高の6年間で教育を考える学校が公立でも増え始めたのだ。実際、文科省が公表している直近のデータを見ると、公立中高一貫校は2016年に全国198校だったものが、2020年度には296校へと急増している。

私立と違い、公立では受験ではなく「受検」と書く。入学者選抜試験ではなく、適性検査と呼ばれる形式の試験を実施している。

再び亜矢さんの話に戻る。今これだけ勉強のできるわが子だ。できれば、大学まで行かせてやりたい。だが、大学にしても学費のことが気にかかる。大学に行くなら国立で……心のどこかにそんな思いもあったと話す。

茜さんは自身の人生を振り返っても、学歴と資格の大切さは身にしみていた。

「私は、専門学校卒で、正直、よいお給料をいただくのは難しかった。シングルになって、身をもってそのことを経験しました。生活のため、少しでもよいお給料をもらえるようになりたいと、実家に戻ってから、看護師の資格を取りました。だから、娘が勉強が好きで、やる気があるなら、なんとかして学歴をつけてやりたいと思ったんです」

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