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日本株は岸田首相誕生なら米国株を急追できるか 日米の株価格差は「戦後最大レベル」まで拡大

東洋経済オンライン / 2021年9月4日 9時0分

アメリカの株高の支えもあり、日経平均株価は9月2日に2万8000円台半ばまでリバウンドした。だが日米相対株価(東証株価指数/S&P500指数)の2018年からの低下基調は2021年8月まで続き、戦後最低水準で推移したままである。過去3年以上も続いている日本株市場の劣後は、(1)消費増税による緊縮的な財政政策(2)新型コロナへの対応において財政政策が効果的に発動されていない、の2つが大きく影響していると筆者は考えている。

■国内政治の不確実性が株価に与えるリスクの中身

また、2021年4月から日本株停滞が一段と顕著になったが、政治的な不確実性の高まりが影響しているだろう。具体的には、アベノミクス以降の経済復調の土台となった経済政策運営への姿勢が変わり、2012年以前のように財政金融政策が双方ともに、官僚主導で「緊縮方向」に転じるリスクである。

新型コロナの感染再拡大で内閣支持率が低下する中で自民党総裁の任期満了が近づき、政治的な動きが活発になり、自民党の権力構造は一段と流動的になっている。

こうした中で、3日には菅義偉首相が総裁選挙に立候補しないことを表明した。菅首相の続投をメインシナリとしていた筆者にとって予想外の展開である。自民党政治家の権力闘争が激化するとみられ、解散総選挙の結果を含めて情勢は一段と流動的になった。

すでに、一足早く自民党総裁選挙への出馬を決めた岸田文雄元政調会長に加えて、財政政策の強化を掲げる高市早苗元総務相などが出馬の機会をうかがっている。彼らを含めた重鎮政治家の権力闘争と総選挙を経て、政治権力構造は大きく変わる可能性がある。

■日本株の停滞構造を変化させる経済政策とは?

いずれにしても、今後は新型コロナ対応や経済政策運営について建設的な議論が行われ、望ましい政策運営が実現されるかどうかがカギを握る。総裁選挙や衆議院選挙において財政金融政策を中心とした経済政策運営が論争テーマになり、拡張的な財政政策の長期化が明確になる、あるいは消費減税を打ち出している日本維新の会と自民党との政策協議が進む、などのシナリオとなれば、これまでの日本株停滞の構図が変わるだろう。

一方、もし安倍・菅政権からの政策転換を図る新しい政治リーダーが誕生すればどうなるか。財政政策については「新型コロナは非常事態」という理由を挙げて、多くの政治家が大規模な財政発動を主張している。

だが、仮にコロナ対応に限定した財政政策発動だけならば、財政支出が増えた見返りに早期増税が行われる可能性がむしろ高まるので、従来同様の緊縮的な財政政策運営である。これは、財政赤字を長期間続けるとして、「反緊縮」方向に財政政策のレジームを転換させたアメリカとまったく異なる政策姿勢である。

岸田氏は、令和版「所得倍増」を経済政策の柱にするとしているが、追加の財政政策の財源についての考えは明確ではない。目先は、政権交代を伴う政策転換に対する期待で日本株が上昇する展開はありえるかもしれない。ただ、仮に岸田氏が首相となり早期に増税路線に転じる姿勢が示されれば、日本株市場はこれまで通りの停滞が予想される。

また、アベノミクス継承を掲げる高市氏は、機動的な財政政策はコロナなど非常時に限定する考えに言及した。現時点での発言の断片のみで即断するのは時期尚早なので、今後の総裁候補の発言や考え方を冷静に見極める必要がある。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

村上 尚己:エコノミスト

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