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実はシビアな競争社会「歌舞伎の襲名」意外な実態 一般家庭の出身で活躍する俳優も少なくない

東洋経済オンライン / 2021年9月8日 18時0分

公演が毎月行われている東京・銀座の歌舞伎座(写真:iwasaki_2020/PIXTA)

歌舞伎役者の市川海老蔵さんは、東京五輪の開会式で、歌舞伎のトレードマークといえる隈取(くまどり)姿を披露しました。海老蔵さんは「十三代目市川團十郎白猿襲名披露」を予定していますが、襲名披露という言葉を聞いたことがあっても、それがどういうものかを知らない人は多いのではないでしょうか。新著『教養として学んでおきたい歌舞伎』を上梓した伝統芸能解説者の葛西聖司氏が、その中身について解説します。

■歌舞伎にとって襲名は大切な行事

三代目JSB(三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)と聞いてわかる人はエグザイル世代。われわれ高齢者は、老舗(しにせ)の「何代目」や「暖簾(のれん)」という言葉が好きだ。トヨタやパナソニックは豊田、松下という姓になじみがあるが世界企業になったので暖簾感覚は遠い。むしろ食品など身近な商品の企業が親しみやすい。

例えばキッコーマン。国際企業だが代表商品は醤油。創業八家のひとつ茂木家は代々七左衛門を名乗る。現在十三代目を継承したのが賢三郎。実は国立劇場、国立文楽劇場などを統括する日本芸術文化振興会の理事長を長年務めていたので歌舞伎の関係者でもあった。

小田原「ういろう」は、同名の菓子を商う。創業650年の老舗で当主名は代々外郎藤右衛門。「ういろうとうえもん」と読む。現在二十五代目。丸薬も代表商品でこれを売り歩く「外郎売(ういろううり)」は歌舞伎十八番のひとつになっている。アナウンサー教則本の早口言葉は、この台本のセリフからとられている。いずれも代々の名跡を襲名することで家業の伝統を守っている。

歌舞伎も襲名は大切な行事であり、世の関心も高い。最近では2019年。松本幸四郎家が、十代目襲名とともに先代が二代目松本白鸚(はくおう)、子息が八代目市川染五郎と親子三世代の襲名披露が話題になった。

白鸚は歌舞伎だけでなくブロードウェーやウエストエンドの舞台でミュージカルを主演する国際俳優。孫の染五郎は高校生ながら、プリンスの雰囲気を漂わせ人気者。十代目の当主となった幸四郎は三谷幸喜と組んだ新作歌舞伎や「図夢(ずーむ)歌舞伎」と名付けた創作配信など歌舞伎界のニューリーダーとして活躍している。

そして新型コロナで延期にはなったが、十三代目市川團十郎白猿襲名披露公演は、すでに発表され開幕を待つばかり。令和の歌舞伎界最大の行事が始まろうとしている。

團十郎家は、現時点で海老蔵が当主。本名は堀越寶世(たかとし、2015年に堀越孝俊から改名)。5歳のとき、初お目見得。7歳で七代目市川新之助を名乗り、初舞台。2004年、市川海老蔵を十一代目として襲名。そしてこの度、十三代目の團十郎を継ぐ。

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