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ワクチン接種を「3カ月早める」ために必要な検証 どの段階で、誰に、どのような権限を与えるか

東洋経済オンライン / 2021年9月16日 7時20分

新型コロナウイルスをめぐる現況と、日本の感染症に対する国家戦略を考える(写真:shu/PIXTA)

新型コロナ危機を「有事」と捉えつつ、こうした感染症危機に際しては、国家が「総力戦」で対応するべきという理論を提示した書『感染症の国家戦略 日本の安全保障と危機管理』(阿部圭史著)が、このたび上梓された。
本稿では、同書をもとに、厚労省の初代医務技監を務めた鈴木康裕氏が、新型コロナウイルスをめぐる現況を分析する。

■歴史的・地理的に考える

わが国の新型コロナウイルス感染症に関して、2021年夏以降のデルタ株の流行(いわゆる第5波)が著しい。毎日の陽性者数が2万人を超えることも多いし、8月後半までは前週の値を超えることが多かった。13万人を超える自宅療養者数(2021年9月初旬現在)も問題視されており、これを「医療崩壊」と呼ぶかは別として、明らかに患者数の急拡大に、入院を中心とする医療の対応が追いついていない状態ではあろう。

ただし、目前の現象をいったん離れ、歴史的・地理的にわが国の新型コロナウイルス感染症による死亡を分析するとどうなるだろうか。

20世紀初頭の「スペイン風邪」では、当時の日本の内務省統計では日本で約2300万人の患者と約38万人の死亡者が出たと報告されている(今回の新型コロナウイルス感染症については、9月初旬の段階で、罹患者が150万人を超え、死者は1.6万人を超えている)。

例年の季節性インフルエンザでは、年によっても差があるが、罹患が1000万人、直接死亡(インフルエンザ肺炎による死亡)が3000人程度、間接死亡(インフルエンザによって持病が悪化して死亡)が1万人程度とされている。

わが国における新型コロナの死亡統計は、死因が何であろうと、新型コロナウイルスが陽性であれば報告されることとなっており、季節性インフルエンザにおける間接死亡に近いといえる。日本で報告されてから1年半以上が経過した時点での死亡者数は季節性インフルエンザによる間接死亡とほぼ同じペースではないか。

わが国はほかの欧米諸国と比較して、重症者や死亡者の数を含めた感染の程度は比較的抑え込まれている。罰則を伴う強制的なハードロックダウンではない、「お願いベース」外出自粛要請であったにもかかわらずマスクを装着し、手指を消毒して、「3密」を避けるという、国民のある意味での「遵法精神」が奏効した可能性が大きい。

また、保健所にまだ余裕があった段階(準備余力のほうがパンデミックの拡大3次元(後述)を凌駕していた段階)では「さかのぼり調査」(感染者がどこで感染したかを過去にさかのぼって調査するもの。通常、他国では、感染者が感染させた可能性のある濃厚接触者のみを追う「前向き調査」が主流)で、どういうシチュエーション(3密)が危険なのかが明らかにされ、国民もそうしたシチュエーションを回避する行動を取ってきた。

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