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日米はタリバン支配のアフガンにどう対峙するか 米軍撤退後、押さえておきたい地経学の注目点

東洋経済オンライン / 2021年9月20日 9時0分

しかし、20年にわたるアフガン戦争の中で、アフガニスタンの鉱物資源が開発された形跡も、またそこから輸出されたような記録もとくに見つかっていない。それは、アフガニスタンが内陸国であり、仮に鉱山開発を進め、資源を獲得することができても、それを輸出するルートが極めて限られているからである。

これはアフガン戦争を遂行するうえでも問題になった点だが、アメリカはアフガニスタンにアクセスを持たず、イランなど南からのアクセスが難しいため、パキスタンと不安定な同盟関係を結んではいたが、輸送のルートとしてはリスクが大きかった。結果として、ウズベキスタンなど中央アジア諸国の協力が不可欠であり、そこを通じて物資のやり取りが主流となっていた。

また、アフガニスタンには鉱山開発のためのインフラや人材が決定的に不足している。レアメタルなどの鉱脈はアフガン各地に散らばっており、やみくもに掘っても鉱脈が見つかるわけではない。こうした鉱山開発をするためには大規模な投資によってインフラを整備し、安定的な環境を整えなければならない。しかし、アフガニスタンは恒常的に内戦状況であり、地域によって偏りはあるとはいえ、政治的に不安定な環境で大規模な投資をすることは現実的には無理である。

■安定統治となれば資源開発に関心を持つ国も

こうした理由から、アフガニスタンの鉱物資源に関するポテンシャルは何度も語られるが、それを開発する意欲もインセンティブもない状態が続いていた。しかし、タリバンが支配を確立し、安定した統治を可能にすれば、こうした鉱物資源の開発に関心を持つ国が出てくる可能性はある。とくに中国やロシアは地理的に近接しており、輸送の問題に関するハードルが低い。

その点から考えると、中露がアフガニスタンに関心を持つ地経学的な動機がある可能性を否定すべきではないだろう。すでに中国はタリバンに対してインフラ整備の提案を行っているとも言われており、イランやパキスタンなど周辺諸国とアフガニスタンの将来に関する協議を行っている。

これまで日本にとって、アフガニスタンへの支援は、インフラ整備や農村支援、DDRと言われる武装解除、動員解除、社会復帰を目指した国家建設支援、民主化支援に集中していた。日本はこれまで約58億ドルの支援を行っており、アメリカやNATO諸国とは異なり兵力を伴わない支援として好意的に受け入れられてきた。また、NGOのペシャワール会の中村哲さんによる灌漑(かんがい)事業などはアフガニスタンの人々に大きな恩恵をもたらし、日本の支援が大きな成果を上げていた。

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