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統一を叫べば民心が離れる中国国民党のジレンマ 台湾の最大野党トップになった朱立倫氏に課せられた課題

東洋経済オンライン / 2021年9月30日 9時30分

中国国民党のトップとなった朱立倫氏。「自分は台湾人」と考える台湾において、中国との関係をどう付き合うか(写真・AA/時事通信フォト)

2021年9月25日、台湾の野党・中国国民党(以下、国民党)が党員投票による党主席(党首)選挙を実施し、元主席の朱立倫氏が8万5164票(得票率45.78%)を獲得して当選した。朱氏のほかに現主席の江啓臣氏、親中派学者の張亜中氏、彰化県県長(知事)や立法委員(国会議員)を歴任した卓伯源氏の4候補で争われ、2022年実施予定の統一地方選挙と、その後の2024年総統選挙にも影響するものとして注目された。

■中国との統一を求める候補が善戦

選挙戦序盤は朱氏と江氏の一騎打ちと言われていたが、2021年9月4日の各候補によるテレビ討論をきっかけに、それまで言説が中国統一に積極的で台湾世論と大きくかけ離れている張氏に注目が集まるようになった。例えば、中国と和平協定締結に向けて直ちに交渉すべきと主張したことで、(中国との)統一派の心をしっかりつかんだ。その後、次第に党内世論調査でリードすることもあり、メディアでの露出も多くなった。

これに焦りを感じたのか、朱、江両氏陣営は、中国問題では「交流を進める」と、将来の地方選や総統選を見据えた慎重姿勢を修正。張氏への対応を迫られるようになったのだ。これまでの歴史的な経緯から、中国共産党と軽々に和平協定を結ぶことに難色を示す国民党員は少なくない。それは、協定が本当に順守されるかわからないこと。また、協定を締結することで中国の完全な国内問題となり、台湾侵攻が起こった際、国際問題としてアメリカをはじめとする外国からの支援を受け入れられない恐れがあると考えるからだ。しかし投票直前まで、張氏の当選を予測し、国民党の完全な親中路線への傾斜、あるいはよりスピーディーな中国統一主義への先鋭化が待ったなしと予想した人もいた。

主席選の有権者となる党員は約37万人。大別すると、若手党員票、地方の有力者・団体票、元軍人・教員など中国から渡ってきた伝統的党員票の3つに分けられるという。

近年、党員数が著しく減少し運営資金不足で苦境にあると言われる中、党員の子女など若者への入党を進めているとされている。しかし、1987年の民主化から時間も経ち、中国大陸ではなく生まれ育った台湾にアイデンティティーを見出すほとんどの台湾の若者にとって、いまだ党名から「中国」を下ろせない国民党に親近感を持つ者は少ない。

とは言え、恩や義理などの人間関係から、仕方なく党員になった、あるいは無意識のうちになった人たちもいるのが現状だ。普段はまったく党員としての自覚がない若者が、主席選で党員だったと知るケースもあるという。この層はいわゆる国民党内の浮動票と考えられ、票読みが大変難しい。

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