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議員へのリコールを推進する中国国民党の事情 勤勉な国会議員のリコールに中国の影も

東洋経済オンライン / 2021年10月15日 11時0分

立場の異なる国会議員へのリコールに参加した中国国民党の朱立倫主席(党首)。その意図は何か(写真・AA/時事通信フォト)

台湾の中国国民党(国民党)が、台湾の民意によって選ばれた立法委員(国会議員)のリコール要求に参加している――。政党としては信じられない行動が、先の党主席(党首)選以降発生している。しかも、その委員は立法院(国会)で出席率100%を誇り、有権者の声もよく聞く仕事熱心な人物である。10月23日にリコール投票が開始される中、なぜ最大野党である国民党がこれに関わるようになったのか。同党が抱える内外の問題から考えたい。

■たった1人の野党議員のリコールに加担

9月25日に国民党主席に返り咲いた朱立倫氏だが、まもなくして市民団体が進めていた台中選出の台湾基進党議員・陳柏惟氏(36)の解職(リコール)に賛同し支持すると表明した。同地に赴き団体と共に運動を開始したのだ。

中華民国憲法によれば、人々は選挙で中央の公職に就くもの(つまり立法委員)や、地方の公職に就くもの(つまり市長などの首長、市議会議員など)を選出するが、同時に解職(リコール)の権利も有するとある。直接民主主義の理念がベースにあり、何度かの修正を経て、2020年に現在の「公職人員選挙罷免法」として施行された。リコール自体はそれを選んだ土地の有権者や市民団体が進めることになる。

2020年6月、陳氏のリコールを要求する団体が、ファンページを開設。有権者への欺瞞や議員としての能力不足、社会風紀に悪影響などを理由に活動を開始した。

9月8日、突如、2020年の選挙戦で陳氏に敗れた顔寛恒氏が、リコールを進める団体のボランティアに参加すると、自身のソーシャルメディア(SNS)ページで発表した。さらに国民党の前主席の江啓臣氏が、そして現主席の朱氏がリコールの列に加わると表明。国民党議員が続々と運動に関わり始めた。最大野党の国民党が、議会でたった1議席政党の議員のリコールを要求する、そんな異常事態に発展している。

国会議員の後ろには、彼らに投票した有権者がいる。そのため、政党がリコールに関わるというのは、有権者への冒涜ともいえる行為であり、通常では考えられないことだ。

日本では少数意見を尊重する立場から、国会議員へのリコールはできないことになっている。しかし、地方の首長へのリコールで2020年、愛知県の大村秀章知事へのリコール運動があった。署名偽造事件に発展し、愛知5区で一時、日本維新の会の支部長を務めた田中孝博氏が地方自治法違反容疑で逮捕された。その際、同党の関与が疑われたが、松井一郎代表はきっぱり、政党として関与することは一切ないと語った。このことからも政党がリコール運動に関与することが、どれほどおかしなことかわかるだろう。

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