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インドネシア、地方都市に広がる「空港鉄道」の波 建設や車両は国産化進むが、電化方式は日本式

東洋経済オンライン / 2021年10月21日 8時30分

鉄道技術に関してインドネシアは、INKAのほかに国営信号会社(LEN)も有しており、国営建設会社(ADIH、WIKAなど)が橋梁、トンネルを含めた土木工事を担うため、事実上、国内の企業で鉄道建設は完結することができ、近年ではこの方式でのプロジェクトが大半である。空港鉄道のような在来線の10km程度の延長ならば、なおさら容易である。

国家プロジェクトとして進んできたジョグジャカルタ空港鉄道はひとまず完成したが、路線は当初から電化を見越した設計で、現段階ではあくまで非電化による先行開業であり、早ければ来年にも電化工事に着工する予定である。

電化が完成すると、オペレーターはKAIからKCIに移管され、ジョグジャカルタ―ソロ間と一体的な運行が実現し、利便性が大幅に向上する。プランバナン遺跡最寄りのブランバナン駅までも空港から乗り換えなしになる。乗車方法も電子マネーをタッチするだけ、列車指定の面倒な乗車券購入も不要になる。

そして、2021年2月11日付記事「インドネシア鉄道、地方でも『205系』が快進撃」でもお伝えした通り、ジョグジャカルタ―ソロ間は直流1500V、架線支持はジャカルタ首都圏で実績のある、日本同様のシンプルカテナリー方式が採用されている。これがそのまま空港まで延長されることになる。

この電化に関しては、日本製の資材がJR東日本商事を介して納入されている。事業主体はインドネシア国内企業で完結しているが、それらを支える裾野産業はまだまだ不足している。INKA製の車両にしても資材の現地調達率は4割ほどである。

電化工事については、ジャカルタ首都圏の需要を反映して施工会社自体は国内に複数存在し、架線金具も生産されている。それでも、日本製品が採用されたのは品質の高さにほかならないだろう。JR東日本商事によると、初の大型海外案件とも言えるジョグジャカルタ―ソロ間電化プロジェクトへの納入をきっかけに、ジョグジャカルタ空港線の電化についても日本製資材が使われることが想定され、引き続き部材の供給を目指しているという。

■インフラ輸出は地道な積み重ねで

先述の通り、インドネシアは今後、鉄道インフラ開発を自国の予算と技術で進めていくことを前提としているため、我が国の円借款のような政府開発援助(ODA)案件は減少していくことが予想される。そんな中、日本の鉄道インフラ関連輸出を進めていくには、このような独自プロジェクトにも積極的に関わっていく必要がある。

JR東日本商事によると、ジョグジャカルタ―ソロ間の電化にあたっては、30年以上前の仕様を採用するインドネシア側と日本メーカーの最新仕様の不一致、資材数量の度重なる変更、また短納期の要求による緊急輸送などさまざまな苦労があったそうだ。また、同社はこのプロジェクトを通じてインドネシア側の電化技術の未熟さに気づき、現在は鉄道事業者の商社という点を生かしてJR東日本と連携し、設計、施工、検査、メンテナンスといった電化に必要とされる電車線技術の研修を有償で準備中とのことである。

このような現地の状況に合わせた地道な対応の積み重ねが信頼構築に繋がり、次の受注に繋がるに違いない。今後、観光にますます便利になるジョグジャカルタ近郊の鉄道網であるが、鉄道インフラ輸出という面からも注目していただければと思う。

高木 聡:アジアン鉄道ライター

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