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「夜飲み全面解除」でもビール会社が喜べないワケ 2021年10月の出荷量は2020年比で減少を見込む

東洋経済オンライン / 2021年10月27日 12時0分

東京都は都の認証を受けている飲食店に対して、10月25日からワクチンの「接種済証」などの条件付きで、客の人数制限を撤廃。これまでは、認証店の酒類提供は午後8時まで、営業時間は午後9時まで、客の人数は1グループ4人との要請が出されていた。

しかし大手酒類メーカー関係者らの間では「飲食店でのお酒の飲み方はもうコロナ前のようには戻らないだろう」といった見方が多く、手放しでは喜べない状況だ。

■ウィズコロナでの酒ニーズは「量より質」

ビールメーカー各社は目下、飲食店で失われた販売機会を家庭内で捉えることに力を入れている。そのカギは「量より質」だ。

アサヒは今年4月、開栓するとジョッキで飲む生ビールのように泡が出る「生ジョッキ缶」を発売。9月には「マルエフ」ブランドを投入した。同ブランドは、「スーパードライに次ぐビールブランドに育成する」と公言するほどの力のいれようだ。

「辛口なスーパードライが明日への活力系とすると、炭酸とアルコール度数が弱めでまろやかな味わいのマルエフは、家でリラックスしながら飲むことを想定した」(松山一雄マーケティング本部長)。コロナ禍で「プライベートな時間を楽しむ」ニーズに合うと話す。どちらの新商品も想定を上回る需要によって、供給が追いつかない事態となっている。

キリンは、3月に「クラフトビール」と位置づける「SPRING VALLEY 豊潤<496>」を家庭用の缶ビールで発売した。クラフトビールは、家でも多様な味わいを求める消費者ニーズに応える商品となる。

同商品の販売は収益性の向上にもつながる。クラフトビールの350ml当たりの参考価格は250円(税抜き)。同200円(税抜き)である通常のビールよりも価格が上だ。

一方で、これまでビールの売り上げを支えてきた飲食店への営業のあり方が、見直されるのは時間の問題だろう。「飲食店はブランド認知のためにも、なくてはならない存在。コロナ後に向けて関係性は保ちたい」と各社口をそろえる。だが、コロナ禍の約1年半では、飲食店を通じることなく新ブランドの認知を進めてきた。

そもそも国内の業務用は、販促費がかさみ収益性の低い分野だった。大手ビールメーカーの関係者からは、「飲食店の数が多すぎ」「ここまで飲食店が増えたのはメーカーが飲食店に多額の協賛金を出してきたからだ」との本音も漏れる。

■すでにアサヒやサントリーは見直し

ビールメーカーは、飲食店で自社製品を採用してもらうために、協賛金という名目で、冷蔵庫やジョッキグラスなど様々な物資を飲食店に提供してきた。だが、こうした協賛金は、販促費の増加にもつながる。アサヒやサントリーなどは飲食店に対し一律で払ってきた協賛金を、販売量に応じる形に見直している。

東京商工リサーチが10月1~11日に全国約8000社を対象に行ったアンケートによると、緊急事態宣言等に関係なく忘年会、新年会を「開催しない」と回答した企業は7割に達した。コロナ禍を機に消費者の飲み方は確実に変化している。ビールメーカーは飲食店との付き合い方を再考せざるをえない。

兵頭 輝夏:東洋経済 記者

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