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直木賞作家「サイボーグが書いた純愛物語に快哉」 相手に「忘れる」幸福を許さぬ「傲慢な愛」の本質

東洋経済オンライン / 2021年11月9日 8時30分

直木賞作家をして「こういう1冊には、本業のフィクション作家は敵わない」と言わしめた「純愛物語」とは?(画像:ipopba/PIXTA)

イギリスのロボット科学者であるピーター・スコット-モーガン博士は、全身の筋肉が動かなくなる難病ALSで余命2年を宣告されたことを機に、人類で初めて「AIと融合」し、サイボーグとして生きる未来を選んだ(詳しくは「人類初『AIと融合』した61歳科学者の壮絶な人生」参照)。

「これは僕にとって実地で研究を行う、またとない機会でもあるのです」

彼はなぜ、そんな決断ができたのか。ピーター博士が自らの挑戦の記録として著わした『NEO HUMAN ネオ・ヒューマン――究極の自由を得る未来』が話題となっている。来る11月24日には、NHK『クローズアップ現代+』で「ピーター2.0 サイボーグとして生きる」として取り上げられる予定だ。

そんな本書を「慰め不要、問答無用のラブストーリーです」と語るのが、小説『ホテル ローヤル』で第149回「直木賞」を受賞した桜木紫乃氏だ。直木賞作家をして「こういう1冊には、本業のフィクション作家は敵わない」と言わしめた本書の魅力について語ってもらった。

■問答無用のラブストーリー

人間は、人生に一度はいい小説を書けると言われています。ピーター・スコット-モーガンさんは、まさにそれを『ネオ・ヒューマン』で体現されたと思います。

この作品は、ノンフィクションでありながら、実録、私小説、フィクション、いろいろな要素が入っています。そこにロボット工学者としての専門知識もふんだんに織り込まれており、なおかつ「難病になっても、こういう延命方法がありますよ」という提示にもなっています。

手塚治虫の漫画『火の鳥』を思い浮かべました。火の鳥をつかまえて、その生き血を飲めば永遠に生きられるとみんなが思っている。ピーターさんの技術は、まさに「火の鳥の生き血」のようですし、人間の考えることは、太古の昔から変わっていないのだともわかります。もし、いま手塚さんが生きていたら、『ネオ・ヒューマン』のようなAIの世界を描いたのではないかとも思いました。

そして本書は、物凄い頭脳を持った人が書いた「純愛物語」だと私は受け取りました。ピーターさんは、恋人のフランシスさんに対してつねにストレートな愛情を向けていて、人間関係にありがちな無駄な考え方を一切しません。

私たちは、恋愛においては大抵、好きな相手のことを「いまどう思っているのだろう?」と想像して足踏みします。お互いの意思疎通がうまくできなくて、余計なことをしたり、悩んだり考えたりすることの連続によって、関係性が深まっていく。しかし、ピーターさんは、フランシスさんからの愛をまったく疑っていないのです。前しか向いていない。ここは驚くべきところでした。

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