有力地銀の解任劇が示す「改革推進」の難しさ 山口FGの元会長兼CEOは土壇場で辞任を決めた
東洋経済オンライン / 2022年1月4日 7時0分
あっけない結末だった。株主から退場を宣告される前に、自ら去ることを選んだ。
吉村猛元会長兼CEOの解任騒動に揺れる山口フィナンシャルグループ(FG)は2021年12月23日、翌日24日に開催される予定だった臨時株主総会の議案を一部取り下げると発表した。取り下げられたのは、吉村氏の解任議案。23日午後に吉村氏が辞任届を提出したことが、その理由だった。
吉村氏は2021年6月、定時株主総会終了後の臨時取締役会で会長兼CEOを解任され、同年10月に「独断専行の姿勢を崩さなかった」として、取締役からの辞任勧告を受けていた。だが、勧告に応じないことから、解任のための臨時総会が予定される異例の事態に発展していた。
■守旧派のクーデターと主張
辞任を拒んでいたのは、吉村氏が自身の解任について納得をしていなかったからだ。吉村氏は2021年11月末に東京都内で会見を開き、「守旧派によるクーデター」と主張。解任の決め手となった社内調査について、「クーデター首謀者による結論ありきの恣意的なもの」とし、独立した第三者委員会を設置しての再調査を求めてきた。
ただ、第三者委員会による調査が必要かを判断するのは、吉村氏を会長から降ろした取締役会だ。山口FGの取締役監査等委員を務める国政道明氏は「今回の件は、第三者委員会ガイドラインにある犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為には当たらない」としている。つまり、第三者委員会による調査の実現は絶望的だった。
さらに吉村氏は株主からの支持も得られなかった。アメリカの議決権行使助言会社のISSやグラスルイスは、吉村氏の解任議案への賛成を推奨。山口FG関係者によれば、「12月23日時点で行使された議決権は80%を超え、吉村氏解任議案に対する賛成率は99%を超えていた」という。総会で勝ち目がなかったため、土壇場で辞任を決めたとみられる。
今回の騒動を振り返ると、2021年6月の定時株主総会の直後に吉村氏が会長兼CEOから解任され、その後に社内調査本部が設置されて調査報告書が作成されるなど、不可解な動きが多かったことは確かだ。
しかし、経営トップの独断専行を阻止したという点においては、ある意味社外取締役を含めたガバナンスが機能した結果ともとれる。
解任のきっかけは、消費者金融大手のアイフルと提携して設立しようとしていた個人向け融資を主柱とする「新銀行構想」だった。吉村氏はこのために、コンサルティング会社を重用。オリバーワイマングループの前日本代表である富樫直記氏やその親族などを新銀行で採用する方針だった。しかも、報酬は吉村氏よりも高額に設定されていた。
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