台湾鉄道の信頼回復担う「日立製新型特急」の実力 相次ぐ事故と座席供給不足のイメージ払拭狙う
東洋経済オンライン / 2022年1月20日 6時30分
2021年の暮れも押し迫った12月29日、日立製作所が製造した台湾鉄路管理局(台鉄)の都市間特急用新型車両「EMU3000」が、台北と東部の台東を結ぶ東部幹線の特急列車として営業運転を始めた。
台湾ではかねて、東部方面への移動需要に対して鉄道の座席数がまったく足りず、指定券を入手しづらい「一票難求」と呼ばれる状態が続いてきた。従来車両は編成が短く、全席指定のうえ立席での乗車も不可能と、どうしても利用したい人々を見捨てるような状況だった。それに加え、台鉄では近年、多数の乗客が死亡する大事故が相次いで発生しており、信頼性とイメージの回復は必須の課題となっている。
このたび運行が始まった新型特急は、こうした問題を解決するための救世主となりうるのか。
■真っ白なボディでイメージ一新
黒いフェイスに白のボディが特徴的なEMU3000は、2024年までに計600両(12両×50編成)が投入される予定で、台鉄史上最大規模かつ国際的にもまれに見る増備計画となる。今までの台鉄にはなかった斬新なデザインは、現地鉄道ファンの間で「ペンギン」や「くろさぎ」などといったあだ名で運行前から人目を集め、一般の人々の間でも注目されている。
台鉄は2019年から車両や駅構内のデザインをリフレッシュし、国営鉄道のイメージを一新しようと「台鉄美学復興(FUTURE—RENAISSANCE)」と銘打ち、外部デザイナーと連携しながら新たなコンセプトによる車両の開発を進めてきた。通勤型電車の「EMU900」や観光列車の一種である「鳴日号」がその例だ。EMU3000は第3弾に当たり、日立側が当初提案した「TEMU1000」(タロコ号)をベースとしたデザイン案を突き返して再検討を進めた。その結果として生まれた、シンプルかつ落ち着きのあるデザインは今までの台鉄に見られなかった意匠が感じられる。
こうした努力の結果、EMU3000は台湾の公共交通車両として初めて日本の「グッドデザイン・ベスト100」に選出されている。
EMU3000は第1陣の納入分として3編成・36両が台湾に到着しており、まずは東部幹線の特急列車3往復に投入された。当面は同線方面を走ることになる。
時刻表を見ると、今回12月29日のダイヤ改正でEMU3000へ車両を置き換えた列車は、従来と比べて所要時間が10分ほど延びている(樹林―台東間の場合)。所要時間が延びてでも新型車両に置き換えなければならない「切羽詰まった事情」とはどのようなものだろうか。
■振り子式車両は輸送力不足
この記事に関連するニュース
-
「北斗星」で乾杯! 茨城のテーマパークで「関鉄ビール列車」
毎日新聞 / 2022年5月20日 13時50分
-
エチケット袋も見納めに? 特急「やくも」381系引退で 追求される「酔わない工夫」
乗りものニュース / 2022年5月8日 16時12分
-
写真で振り返る東海道新幹線「のぞみ」30年の記録 運行前の試乗列車からN700Sまで「取材秘話」
東洋経済オンライン / 2022年5月5日 6時30分
-
ノビノビ使いたい、荷物を置きたい きっぷ2枚買いで隣の指定席も占有できる?
乗りものニュース / 2022年4月29日 14時12分
-
小田急EXE「いちばん地味な」ロマンスカーの実力 子供に不人気?大人になればわかる"渋い存在"
東洋経済オンライン / 2022年4月28日 6時40分
ランキング
-
1500mlドリンク購入で900mlの「ポカリ」もらえる!セブンに今すぐGO!
東京バーゲンマニア / 2022年5月24日 11時5分
-
2「リユース」に本格参入するヤマダ電機、買い取った電化製品を修理して販売へ
読売新聞 / 2022年5月24日 17時2分
-
3モノタロウ新倉庫『人に代わりロボット400台で効率3倍』翌日の始業前に届くを目指す!
MBSニュース / 2022年5月24日 19時20分
-
4老舗が続々廃業! 「和菓子店の危機」がここにきて深刻なワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2022年5月24日 10時5分
-
5「人里離れた研修所に10日間も缶詰にされました」会社員の精神を蝕む“ブラック研修”が横行する理由、「リストラ手段として必要」との声も
文春オンライン / 2022年5月23日 6時0分
ミッション中・・・
記事を最後まで読む

ミッション中・・・
記事を最後まで読む

記事を最後まで読む
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
