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小田急、混雑が生んだ「ワイドドア車」の試行錯誤 巨大扉で通勤ラッシュに応戦、座席なし機能も

東洋経済オンライン / 2022年1月26日 6時30分

夕暮れの車両基地にたたずむ小田急の1000形ワイドドア車両。車内の照明で窓とドアの配置がよくわかる(記者撮影)

日ごろ利用している分には気に留めることもない「電車のドアの幅」。日本の通勤電車の場合、一般的なのは3人が同時に乗り降りできるという1.3m幅だ。

だが、小田急電鉄にはその約1.5倍、幅2mの巨大なドアの電車が存在する。1991年に運行を開始した1000形「ワイドドア車」だ。現在は改造によって実際に開く幅は1.6mになっているため、正確には「存在した」だが、外観上の大きさは2mのまま。1両20mの車体に4つのドアがあるので、実に側面の4割をドアが占めていることになる。

ドア幅を広げたのは、登場時に深刻だったラッシュ対策のためだ。今では6両編成1本が残るのみになったが、ワイドドア車の登場から現在に至るまでの経歴には、混雑対策の工夫と試行錯誤がみてとれる。

■ドアを増やすのではなく「広げる」

バブル景気の熱がまだ冷めやらぬ平成初頭、日本の大手私鉄各社の利用者数は過去最高の水準に達していた。1991年度、小田急線の最混雑区間である世田谷代田―下北沢間の混雑率は定員の倍を超える203%。列車のさらなる増発は難しい中、抜本的な解決策である複々線化はなかなか進まなかった。

当時、鉄道各社はラッシュ時の混雑や遅延対策の「切り札」として、乗り降りの時間短縮につながる車両の開発に力を入れていた。その例が、ドア数を増やした「多扉車」だ。首都圏では1990年、JR東日本が山手線に一般車両よりドアが2つ多い6ドア車を導入。3ドア車が標準だった営団地下鉄(現・東京メトロ)日比谷線も5ドア車の運行を開始した。小田急線のお隣、京王線も1991年春に5ドア車を投入した。

そんな中、小田急はドアを「広げる」という発想に出た。ドアの数を増やすという方策を採らなかったのは、1両当たり4カ所という整列乗車の位置を崩さずに対応するためだったという。そして開発されたのが、前代未聞ともいえる幅2mのドアを備えたワイドドア車だ。

ワイドドア車は、1987年以降増備が続いていた当時の最新型車両1000形を基本として開発。まず1991年に6両編成2本、4両編成2本の20両がデビューした。前面のデザインは一般の1000形と同じだが、側面のドアは先頭車両の乗務員室寄りの1カ所が1.5m幅なのを除き、ほかは全て2m幅。代わりにドア間にある開閉可能な窓は幅66cmと小さくなり、ほかに類を見ない独特の外観となった。ドア間の座席は通常の7人掛けから5人掛けに減ったものの、1人当たりの幅は44cmから46cmに拡大。これは現在の最新鋭車両5000形などと同じだ。

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