オンキヨー破産「高性能でも勝てない」時代の現実 ハイエンド市場で生き残る商品と敗れ去る商品の差
東洋経済オンライン / 2022年5月14日 14時3分
驚きのニュースが飛び込んできました。日本を代表するオーディオ機器メーカーのオンキヨーホームエンターテイメントが5月13日、大阪地方裁判所に自己破産を申請しました。音楽がCDではなくレコードだった当時からの音楽ファンであれば特に寂しいニュースと感じるのではないでしょうか。
オンキヨーは戦後のオーディオブームを支えた名門の一角です。家電量販店の店頭などで「ONKYO」のブランドロゴを目にした中高年世代の人も少なくないでしょう。手ごろなミニコンポも販売していましたが、高級品のアンプやスピーカーでも有名でした。当時はよりよい音を聴こうと思ったら、アンプを高級品に変え、スピーカーを高級品に変え、それらをつなぐケーブルを高級品に変えることが大切な時代でした。
ハイエンドユーザーの減少が響いた
音楽の世界でこのようにして音を楽しむ習慣が変わり、高性能や最高級を志向する「ハイエンド」なユーザーが減少したことに伴い、最終的に市場が縮小してオンキヨーが経営破綻したというのがわかりやすい経済学的な説明です。オンキヨーだけではなくサンスイ、コーラルなど世界レベルだった日本の高級オーディオ機器メーカーのブランドが消滅したのも同じ理由です。
しかしあらためて考えてみたいのですが、なぜハイエンドのオーディオ市場は縮小しているのでしょうか。読者のみなさんは「ハイエンド市場なんてスマホ全盛のデフレ経済下では縮小するのがあたりまえだよ」とお考えかもしれません。その直感に反する話を2つほど並べてみたいと思います。
ひとつは音楽アーティストの方に話を聞く機会があればピンとくるかもしれない話です。アーティストは実に深く録音にこだわります。マスター音源を聴くと違いがわかるそうですが、音が違う。それがCDというパッケージになるとどうしても簡素化してしまうのが彼らの不満です。
もうひとつ別の話ですが、レコード会社はマスター音源というものをとても大切な資産だと考えていて、昔は門外不出の財産でした。ところが時代が変わったということでしょう。最近ではハイレゾというほぼマスタークオリティの音源が販売されています。これが音楽業界の流通にかかわるひとたちにとっては信じられないほどの方針転換だというのです。
ハイエンド音源のユーザーは数%しかいない
言い換えると私たちが大好きな音楽アーティストが提供してくれる商品には、私たちがよく聴いている商品以外に、同じ曲なのに聴こえ方がまったく違う商品が存在し、それが販売される夢のような時代が来たということです。普通の音楽ストリーミングとハイレゾはそれほど違うにもかかわらず、ハイレゾがなぜか売れない。本当の意味でのハイエンド音源のユーザーは音楽市場の中でおそらく数%しかいないと推定されるのです。
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