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会話がしらける?「話し好き」が陥る残念な悪習慣 寡黙は地味じゃない、聞き上手こそ話し上手

東洋経済オンライン / 2022年5月25日 22時0分

人と楽しく会話をするには、「人が話しているときは横から口を挟まない」ことが大事(写真:takeuchi masato/PIXTA)

累計250万部以上の書籍を手がける編集者である一方、ドラァグクイーンとして各種イベント、メディア、舞台公演などに出演する村本篤信氏による連載「話しやすい人になれば人生が変わる」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボにより一部をお届けする。

今回は、話しやすい人になるための具体的な方法、今日からできる「チョイ技」をお伝えしましょう。

前回、私が25年前から新宿のゲイバーを手伝っているとお話ししましたが(記事はこちら)、その際、私がまず大事にしているのが、特に初対面のお客さんに対し、「私はあなたの敵ではない」という雰囲気を、全身で表現することです。

ゲイバーのママのなかには、毒舌を売りにしている人がいますし、世の中には「バーでもカフェでも、愛想のいいマスターより、ぶっきらぼうなマスターのほうが信頼できる」というお客さんもいます。

しかし、もともと八方美人気質な私がそのキャラで売るのはハードルが高すぎますし、ただでさえストレスを抱え、傷つくことに臆病になっている人が増えているように思われる昨今、やはり安心して楽しくすごせることをお店に求めるお客さんのほうが多い気もします。

そのため私は、できるだけお客さんに「話しやすい」「ホッとする」と思っていただけるような接客を心がけています。

聞き上手になるために、まず大事なのが「しゃべりすぎないこと」です。

大事なのは「しゃべりすぎないこと」

みなさんは「沈黙は金、雄弁は銀」という言葉をご存じでしょうか? これは、「沈黙には、優れた弁舌以上に価値がある」という意味のことわざです。

もちろん、発言を求められたとき、きちんと意見や考えや要望を表明しないと、相手に自分の権利を侵害されてしまうようなときなどは、沈黙より雄弁のほうが価値があるでしょう。しかし、他者との会話においては、やはり沈黙に価値があると、私は思います。

途中で余計な口を挟まれるより、相手が静かに聞いてくれたほうが、話し手にとって話しやすいのは、言うまでもありません。聞き手側も、沈黙を貫くことで、「あの話もしたい、この話もしたい」「何か言わなきゃ」といった気持ちから解放され、相手の話に集中することができ、理解度が高まります。

また、人と話しているとき、必要以上に口を開かない人は、他人に安心感を与えますし、そのような人が発するちょっとした一言は、それが実はさほど大した内容ではなくても、なにか「熟慮の末の一言」といった説得力を感じさせます。

逆に、よく話す人は「頭の回転が速い人」「知識が多い人」「面白い人」という印象を与えますが、それはあくまでも、本当に頭の回転が速く、知識が多く、話術が巧みな場合に限ります。

そうでない場合は、単に相手の話の腰を折るだけ、物事を深く考えていないことを露呈するだけ、相手に話す隙を与えず、あまり面白くない話を延々と聞かせるだけ……になってしまうことも、しばしばあります。

世の中には、自分自身もしゃべりつつ、相手の話を引き出し、膨らませるのがうまい人もいますが、そういう人は話し上手であると同時に聞き上手です。

頭の回転が速く、「相手の話を瞬時に理解し、深掘りできる点や新たな情報を追加して、面白くわかりやすく提示する」といったフローを脳内で一瞬で行うことができる、特殊技能の持ち主だといえるかもしれません。

大切なことは、ゲイバーが教えてくれた

かくいう私は昔、沈黙の価値があまりわかっていませんでした。

もともと、人の話を聞くのも好きなほうではありましたが、子どもの頃は、親からたびたび注意されるくらいおしゃべりでしたし、どちらかというと、頭の回転が速く、弁舌さわやかで目立つ人を「優秀な人」、寡黙な人を「地味な人」ととらえていました。

加えて、20代前半までは、会議でも打合せでも日常会話でも、「何かしら発言しておかないと、自分がここにいる意味がなくなる」という思いにかられ、わざわざ言わなくてもいいことを言って会議の時間を無駄に延ばしてしまったり、非常に浅い発言をし、自分の愚かさをさらけだしてしまったりしたこともしばしばありました。

そんな私が、沈黙の大切さに気づく1つのきっかけになったのは、20代半ばから、週末だけ、新宿2丁目のゲイバーでアルバイトをするようになったことでした。

ちなみに、当時働いていた会社は副業禁止だったはずですが、ある日、なぜか突然「ゲイバーでアルバイトをしよう」と思い立った私は、行きつけのお店に「働かせてほしい」と頼み込んだのです(それから25年経ち、今も私はその店で月に一度バイトをしています)。

それまで、客として飲みに行ったことは何度もありましたが、バーカウンターの内と外では、見える景色が違いました。

カウンターの内側にいるときに求められるのは、お客さんが聞きたい話をするか、お客さんの話を聞くかのどちらか(もしくは両方)であり、「お客さんが聞きたい話ができているか」「お客さんの話をちゃんと聞くことができているか」は、お客さんの態度にすぐに表れます。

大げさな言い方になりますが、お互いに会社の看板を背負ってクライアントと打ち合わせをするときとは少し異なり、バーでは、「1人の生身の人間として、目の前にいるお客さんにどう向き合うか」が試されている。そんな感覚がありました。

最初のうちは「面白いことを言わなければ」という気持ちもあったものの、何時間も、誰に対しても面白い話を提供できるほどの話術もスタミナも、私にはありません。そこで自然と「基本的には、お客さんから話を引き出し、聞く」という営業スタイルに落ち着いていきましたが、「失敗したな」と思ったことも何度かあります。

お客さんが一生懸命話しているときに、つい口を挟みたくなって、話の腰を折ってしまい、お客さんががっかりしたような、不満そうな表情になったこともありました。お客さんが好きな映画の話をしているときに、ついその映画に対して批判めいたことを言ってしまい、明らかに空気が悪くなってしまったこともあります。

また、自分自身はあまり話さず、カウンターの中でお客さん同士の会話を見聞きしていて学ぶこともたくさんありました。

客同士の会話を見聞きして学んだこと

話したいという衝動を抑えきれなくて、あるいは「自分は賢く、いろいろなことを知っている」とアピールしたくて、相手が一生懸命話しているときに、会話を先回りしたり、自分の知識を披露したり、自分の話に持っていってしまったりする人。

正直すぎて、あるいは「毒舌で鋭いことを言う自分」になりたくて、相手が楽しい話をしているときに、水を差すようなことを言ってしまう人。「何かうまいこと言わなきゃ」「面白いことを話さなきゃ」と焦って、かえって頓珍漢なことを言ってしまう人。

逆に、人の話を静かに聞いて、好感を持たれる人。

こうした経験から、私は「相手に気持ちよく話してもらうため、とにかく、人が話しているときに、余計な口を挟まないこと」を以前よりも心がけるようになりました。

同時に、余計なことを言ってしまうときは、「自分をアピールしたい」「自分を高く評価してほしい」という気持ちが根底にあることが多く、それはたいてい逆効果になる(何も言わないほうが、むしろ相手からの評価は高くなる)ということも学んでいきました。

そして、ゲイバーで学んださまざまなことは、その後の会社での仕事やライターとしての仕事でも、かなり役に立ちました。

このように、「自分の話を聞いてほしい」「自分のことを知ってほしい」という気持ちを脇に置き、「しゃべりすぎないことを自分に課す」ことは、沈黙の価値を知り、聞き上手になり、話しやすい人になるうえで、非常にいい訓練になります。

ただ、それを実践するのはなかなか難しいものです。

すでにお伝えしたように、相手の話の途中で口を挟んだり、余計なことを言ってしまったりする原因としては、主に、

①単に辛抱が足りない(「せっかちで、人が話し終えるのを待てない」「思ったことをそのまま口にしてしまう」など)
②自分をアピールしたい(「優秀な人間だと思われたい」「ユニークな人間だと思われたい」など)
③焦り(「うまく話さなきゃ」「面白いことを言わなきゃ」など)

の3つが挙げられます。

①に関しては、慣れるしかありません。せっかちな人は「人が話し終えるまで、あいづち以外は口を開かない」と決め、「思ったことをそのまま口にしてしまう」という人は、人の発言に対して何か言いたくなったら、「それを口にして、相手が喜ぶかどうか」を考えるようにしましょう。それだけで、かなり改善されるはずです。

いきなり24時間気を張るのは難しいでしょうから、まずは「1日1時間だけ実践する」と決め、徐々に時間を増やしていくのもいいでしょう。

②に関しては、自己肯定感の有無や承認欲求にも関係し、本人に自覚がないことも多いため、簡単には解決できないのですが、「本当に賢い人は、余計なことを言わない」「本当に人を見る目がある人は、相手が話せば話すほど、その人の本質、その人が知られたくないこと、その人が隠そうとしていることを見抜いてしまう」ということを頭の中に入れておくことで、もしかしたら多少なりとも、「自分をアピールしたい」という気持ちが抑えられるかもしれません(私の場合は、これでだいぶ承認欲求の暴走を止められるようになった気がします)。

「聞き手に回ろう」と開き直るのも大事

最後に③に関してですが、焦りの根底には、たいてい、自分が「話し上手じゃないこと」に対するコンプレックスがあります。しかし、決して悩まないでください。

「自分は話し上手じゃない」という意識があると、「話をふられたらどうしよう」といった不安にかられ、会話に集中できなくなりがちです。そのような人は、「うまく話せるだろうか」といった焦りを捨て、「別にうまく話せなくてもいい」「私は聞き手にまわろう」「『人の話を聞く』ということを極めよう」と開き直ってみましょう。

「うまく話さなきゃ」というプレッシャーがなくなれば、おそらく、今までよりも落ち着いて人の話を聞くことができるようになるはずです。そして、落ち着いて人の話を聞いているうちに、「この人の話は簡潔でわかりやすいな」「この人の話には無駄が多いな」といったことが、感覚でわかってくるはずです。

聞き上手な人になることは、話し上手になる早道でもあるのです。

なお、このようなお話しをすると、「なに、当たり前のこと言ってるの?」「私は人の話を聞くのが好きだから大丈夫」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、厳しいことを言うようですが、何事においても「私は大丈夫」「私はできている」と思い込んでしまうのは危険です。実際、「私は人の話を聞くのが好きです」と言いながら、全然人の話を聞いていなかったり、人が話している途中で、自分が話し始めたり……という人は少なくありません。

ですから、「自分は聞き上手」「人の話を聞くのが好き」だと思っている人も、一応、周りの信頼できる人数人に、「ちゃんと人の話を聞くことができているかどうか」を確認してみるといいかもしれません。そこで、仮に耳に痛いこと、自分が望んでいたのとは違う答えが返ってきても、真摯に受け止めるようにしましょう。

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アルファポリスビジネス編集部

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