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忍び寄る「サル痘」、日本の臨戦態勢は十分なのか 重症化率は低いがウイルスが変異する恐れも

東洋経済オンライン / 2022年7月2日 7時20分

サル痘の陽性や陰性のラベルが貼られた試験管。ヨーロッパを中心に感染が拡大している(写真:共同)

新たな脅威は、日増しに日本へ近づいてきている。

世界でにわかに感染が拡大しているサル痘。世界保健機関(WHO)によると、6月22日時点で、3413の感染例と1人の死亡例が50カ国で確認された。感染例が多い地域はイギリスやドイツなど。ヨーロッパで全体の9割近くを占める。

日本では6月30日現在、感染例は確認されていない。だが、6月下旬には韓国でも感染者が確認されている。海外との人の行き来が復活しつつある中、いつ国内で感染が確認されてもおかしくない状況だ。

国内で感染が確認された場合の迅速な対応を可能にするため、厚生労働省はサル痘に関する「臨床研究」を始動させた。ワクチンに関しては6月15日に、治療薬については6月28日に、それぞれ国立国際医療研究センターで開始。厚労省の担当者によれば「国内未承認の医薬品を、いちばん手っ取り早く使用できる仕組みだ」という。

妊婦や小児は重症化するリスクも

WHOは6月23日、サル痘に関する緊急委員会を招集した。重症化率などが低いことから、サル痘の感染拡大は、新型コロナウイルスのような「緊急事態」には現時点で当たらないと判断した。しかし、WHOは「引き続き状況を注意深く監視する」としている。

その理由としてまず、サル痘が従来と違う地域で感染拡大していることが挙げられる。

サル痘は50年ほど前、アフリカで初めて人での感染が確認された感染症だ。中央・西アフリカ地域で流行は継続し、致死率は1~10%。リスやウサギ、サルなどの動物からの感染が中心だったが、今回のように人から人への感染例もなかったわけではない。ただ、アフリカ以外の国々で感染が広がることは少なかったため、いま先進国の間で大きな注目が集まっているのだ。

WHOによれば、現在確認されている感染者の多くは男性で、男性と性的接触を持つ男性での感染拡大が特徴的とされる。ただし、女性や子どもの感染例の報告もある。

サル痘に詳しい岡山理科大学獣医学部の森川茂教授は「妊婦や小児、免疫不全の人は感染した場合に重症化しやすい」と指摘する。さらに、「妊婦が感染した場合、胎児の死産や先天性サル痘などにつながる危険性がある」と注意を促す。

現在判明している感染経路は、サル痘ウイルスを持っているおそれのある動物や人との接触だ。飛沫のほか、血液や体液、そして衣服や寝具に触れることで感染する可能性もある。感染者との直接接触がない限り感染リスクは低いとみられるが、森川教授は「この状況が続くと、人から人へ感染しやすいウイルスに変異する可能性がある」とみる。

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