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日銀が目を背ける「景気と賃金」に不都合なデータ 「インフレと賃上げの好循環」は起きているのか

東洋経済オンライン / 2023年11月8日 6時40分

黒田日銀の轍を踏みつつある植田日銀(撮影:今井康一)

日銀は10月31日に四半期に一度の経済見通し(展望レポート)を公表した。

【グラフ】「個人消費は着実に増加している」と考える日銀と「消費は弱い」とみるエコノミストの間の深い溝

「わが国の景気は、緩やかに回復している」との見通しを維持し、賃金については「上昇圧力は強まっていくと考えられる。このことは、コスト面では人件費の上昇圧力をもたらすとともに、家計の購買力の増加に寄与するとみられる」とし、賃金と物価がともに上昇する好循環に向かっていくという見通しを示した。

またもや「展望」ならぬ「願望レポート」に

もっとも、7~9月期の実質GDP成長率はマイナスとなる見込みで、内需はそれほど順調に回復していない。

「期待に働きかける」という金融政策を重視した黒田東彦前総裁時代には、展望レポートではインフレ見通しが常に右肩上がりとなり、「願望レポート」と揶揄されたこともあった。

筆者は現在の植田日銀もやや同様の面があると感じている。今回のコラムでは、個人消費と労働市場について日銀にとって不都合なデータを紹介する。日銀は好循環が定着することで金融政策の正常化を進めようとしているが、そう簡単ではなさそうである。

日銀は個人消費について「物価上昇の影響を受けつつも、緩やかなペースで着実に増加している」と判断している。しかし、足元の個人消費の動向は参照するデータによって見え方が大きく異なっていることが、エコノミストの間で注目されている。

具体的には、総務省が作成する全国の約8000~9000世帯をサンプル(標本)として無作為抽出した調査である「家計調査」と、日銀が作成する小売店などのデータを独自に集計した消費活動指数の乖離が目立っている。

日銀は家計調査について「サンプルに偏りがある可能性」や「月々の振れも大きく、個人消費の実勢を把握しにくい」ことを理由に、あまり重視していない。

2つのデータ、どちらに問題があるのか

植田和男総裁も10月の決定会合後の記者会見で「家計調査はちょっと弱いが、その他の消費に関するデータは、おおむね緩やかに改善を続けていることを示唆している。いくつかの消費マインド調査もそんなに悪くないと判断している」と説明した。

しかし、今回に限っては、家計調査が示す消費の弱さを「サンプルの問題」と切り捨てるべきではないと筆者を含むエコノミストは指摘している。むしろ、今回は日銀の消費活動指数のほうが問題がある可能性がある。

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