スパイ容疑で中国に拘束された日本人を救う方法 反スパイ法で逮捕された日本人男性に懲役12年
東洋経済オンライン / 2023年11月16日 7時0分
2019年7月に湖南省で「中国の国家安全に危害を加えた」として反スパイ法違反で国家安全当局に逮捕されていた介護関連の仕事に携わっていた50代の日本人男性。今月3日に高裁に当たる同省高級人民法院に棄却され、懲役12年の判決が確定した。
【表を見る】スパイ活動への関与を疑われ拘束された17人の日本人
今年でいえば3月にも、アステラス製薬の幹部男性が中国国家安全局によって拘束され、厳しい居住監視措置を経て10月19日に逮捕された。
中国は2014年に「反スパイ法」を制定し、これまでに17名の日本人がスパイ活動への関与を疑われ拘束された。そのうち1名が病死し、11人は刑期を終えるなどして帰国しているが、今回懲役刑が確定した日本人男性を含め5人がいまだ拘束されている。
この反スパイ法は今年7月に改正された。国家の安全と利益に関わる情報を窃取する行為がスパイ行為の定義に加わるなど、恣意的な運用の余地を拡大させ、西側諸国も大きな懸念を示している。
拘束された日本人をどう救う?
これまで反スパイ法で拘束された日本人17名のうち、11名が帰国しているが、その内訳は、6名が刑期を満了したことで釈放、帰国。残りの5名は起訴前に釈放されている。
過去には早期解放を実現させた稀有な例もある。2019年9月に北海道大学教授が北京市内のホテルで中国当局に拘束された事例では、日本のメディアや各学会、研究機関などが相次いで早期解放を求める意見を表明した。
さらに、2020年の習近平国家主席の来日を控える中、茂木敏充外相(当時)は王毅外相に対し早期解放を求めたほか、当時の安倍首相が王岐山副首相、李克強首相に対して早期解放を働きかけたことで、中国側は「あくまで保釈」というギリギリの形で教授を解放した。
日本の世論の高まりや安倍元首相などの強い働きかけ、さらに習近平国家主席の来日が控えていたという背景も重なり解放を実現させた極めて稀有な例である。
しかし、中国で起訴されてしまえば釈放される可能性は極めて低くなる。これまでの拘束事案では、日本政府は中国側に対して早期解放を要求しているが、前述の例を除き早期解放には結びついていない。
まず、CISTEC(安全保障貿易情報センター)が示しているように、カナダが2021年2月に発表した、国家が主体となって“外交ツールとして外国人を恣意的に拘束”することに反対する宣言「二国間関係における恣意的拘束の利用に反対する宣言※」に基づき、毅然と即時解放を求め、共通の懸念を持つ関係国と連携して中国などに対し強い姿勢を示すほか、具体的な邦人保護の方針を示すべきである。
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