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コンビニが「レジ横ドリンク」に再注力する深い訳 冬場もスムージーやフラッペの展開を強化

東洋経済オンライン / 2023年11月18日 8時0分

コーヒー以外の「レジ横ドリンク」でいえば、セブンのスムージーはむしろ後発。競合のファミリーマートはコンビニコーヒー黎明期であった2013年から、ミルクベースのスイーツ飲料、「フラッペ」を提供する。

こちらも同じく顧客が半製品を購入し、マシンで最終調理を行うセルフ式。マシンや材料を刷新しつつ、今ではほぼ全店に広がり、10年間での累計販売数は約2.6億杯にのぼる(2023年7月末時点)。

2020年にはコロナ禍で販売を大きく落としたものの、それ以降は右肩上がりを続ける。2022年度には数量ベースで2019年度比17%増と、コロナ前を上回った。開発担当の岩井翔太郎氏は「他社と明確に差別化できる商材で、重点カテゴリーの一つでもある。看板商品に育てていきたい」と語る。

ローソンも複数店での実験を経て、2022年9月から関東圏中心に一部店舗で「マチカフェプラス」を開始している。マチカフェプラスは400円前後のスムージーを中心に、通常のローソンにはない高付加価値なドリンクを販売する事業だ。セブンやファミマと異なり、店員がバックヤードで生のバナナなどの食材をカット、ブレンダーで調理し、ホイップやソースでデコレーションも行う。

同社は約20年前から厨房併設型の店舗を増やしてきた。競合に比べオペレーションは複雑だが、既存の厨房設備をいかして、より顧客に「出来たて感」を訴求することで差別化する。

展開店舗はまだ20数店。2025年度までの販売店舗数の目標も500店と、規模やスピード感では競合に見劣りする。だが、毎月メニュー開発を行い、スムージーを中心に新商品を最低1品、多いときは2品以上投入するこだわりようだ。商品本部戦略担当の鷲頭裕子氏は「大規模化してから差別化するのは難しい。スタートの段階で他社にはない価値を磨いていくことが重要」と語る。

大手チェーンがスムージーやフラッペなど、レジ横ドリンクに改めて注力しているのには、コロナ禍の影響が大きい。

1つはキャッシュレス決済が急速に普及し、セルフレジの設置が進んできたことだ。レジ回りのオペレーションが簡素化したことで、店舗側に「余裕が生まれてきた」(ローソンの加盟店オーナー)。

他方でセルフレジの浸透が、接客が必要な揚げ物や中華まんなどのカウンターフードの販売にマイナスに働き、販売数の回復に苦心しているチェーンもある。冬場の利益を支えるおでんも、ここ数年の衛生意識の高まりで「急激に取り扱い店舗数が減った」(あるコンビニ本部)。これらファストフードは、コンビニが取り扱う商品の中でも粗利率が高い。レジ横ドリンクは、それらの伸び悩みを補填する役割としても期待される。

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