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「ちゃんとしなさい」と叱る親の子ほどできない訳 言葉がけは「ロジカルに」「フルセンテンスで」が基本

東洋経済オンライン / 2023年12月1日 15時30分

「ちゃんとしなさい」と言いがちですが、「ちゃんと」って具体的にはどういうことなのでしょうか?(写真:ペイレスイメージズ1(モデル)/PIXTA)

親が子育てにおいて、我が子に投げかける機会が多い「ちゃんと〇〇しなさい」。小児科医・医学博士・公認心理師である、成田奈緒子氏と、臨床心理士・公認心理師である上岡勇二氏によれば、これは子どもの脳の育ちを「阻害」する悪い言葉がけであるという。なぜ、不適切なのか。親は子に対して、代わりにどのような一言を投げかければよいのか、『その「一言」が子どもの脳をダメにする』を上梓したお2人に語ってもらった。

「あいまい言葉」が脳の成長を阻害する

【事例】

×「ちゃんと片づけなさい!」
〇「元の場所に戻そうね。そうすると次に読むときに見つけやすいよ」

どう片づければいいの?

コウタ(小5)

いつも部屋を散らかし放題のコウタ。机の上は何が置かれているのかわからない状態、漫画を読んだら床に出しっぱなし……。「ちゃんと片づけなさい!」と叱るのが母親の日課になっています。叱られると少しは片づけるのですが、母親の考える整理整頓には程遠い状態です。

そんなある日、いつものように、片づけをしないコウタを叱ると――。

「うっせえなあ、クソババア!」

コウタは、勢いよく本を壁に投げつけ、壁に穴を開けてしまいました。母親は驚きのあまりその場に立ち尽くしています。

「ちゃんと宿題をやりなさい!」「ちゃんとした格好をしなさい!」「ちゃんと挨拶をしなさい!」

子どもに注意をするとき、「ちゃんと」という言葉を使っている親御さんがとても多いように感じます。「ちゃんと」「きちんと」「しっかり」などは、そのときの状況によって定義の変わる「あいまい言葉」です。この言葉を使うことによって、子どもの脳は不安になり、混乱し、脳の成長が阻害されてしまいます。

子どもは「あいまい言葉」が判断できない

「ちゃんと」などの「あいまい言葉」が判断できるようになるのは、大人になってからです。前頭葉は、論理的な思考をする、行動のために計画を作る、自己を客観化するなどの「高次脳機能」と呼ばれるさまざまな機能をつかさどります。

大人は前頭葉がすでに十分に発達しているために、「あいまい言葉」にあたる内容を、前頭葉を使いながら状況に合わせて理解することができます。しかし、小学生の前頭葉はまだ発展途上です。大人のように、「あいまい言葉」を状況に合わせて判断し、行動するのはとても難しいことです。

コウタは、発展途上にある前頭葉を使って、自分なりに「ちゃんと」片づけているつもりだったのでしょう。しかし、母親に毎回ダメ出しをされて、すっかり自信をなくしてしまいました。そのような状態が長く続くと、親に反抗するようになってしまうケースは決して珍しくありません。

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