「あの人は今」状態からの脱却に向けe-tronが進化 名前も新たに遅れを取り戻す大幅改良の中身
東洋経済オンライン / 2023年12月2日 11時30分
BEVはつらいよ……、なんてことを思い浮かべてしまったのは、アウディジャパンが2023年3月に日本導入を発表し、11月にようやく路上を走りだした「Q8 e-tron(イートロン)」を運転したときだ。
【写真】アウディらしいけれど、たしかに新しい。Q8 e-tronのデザインは新鮮だ
Q8 e-tronとは、アウディのラインナップにおいて、SUVタイプでは、2022年に日本で発売された「Q4 e-tron」の上に位置するモデル。このあとドイツでは、「Q6 e-tron」の導入も予定されている。
成り立ちは、2019年にヨーロッパで販売開始された「e-tron」のアップデート版。BEVすべてに「e-tron」のサブネームを冠する方針の中で、1台だけ「まんまe-tronじゃまずかろう」と思っていたら、案の定「Q8」が付与された。
車名をみても、4よりも6よりも大きな8だけあって、全長4915mmの車体を、2930mmのロングホイールベースを持つシャシーに搭載している(Q4 e-tronは全長4590mm)。
パワートレインは、2つ。250kWの最高出力と664Nmの最大トルクを発揮し、95kWhバッテリーを搭載する仕様(50 e-tron quattro)と、300kWの最高出力(最大トルクは同一)で114kWhバッテリーの仕様(55 e-tron quattro)。
「e-tronの後継モデル」をうたうQ8 e-tronでは、性能をさらに向上させた。具体的には、バッテリーの正味エネルギー容量を増加させるとともに、空力特性やモーターの効率アップを図っている。
バッテリー容量は、「50」で24kWh、「55」で19kWhのアップ。ともにバッテリーの隙間を極力なくし、エネルギー密度向上を実現したという。
アウディが砂漠で試乗会を行う意図
私はe-tron日本導入前の2019年、アブダビの砂漠で行われた国際試乗会に参加している。
このときは、2トンを超える車重をものともしないパワーとともに、カメラをアウトサイドミラーの代わりに使う「バーチャルミラー」や、3つも液晶パネルを配したインストルメントパネルなど、多くのデジタライズされた機能やデザインに驚かされた。
砂漠を試乗の場所に選んだのは、全輪駆動システム「quattro:クワトロ」がBEVでも有効なコンセプトだと証明したかったからだろう。
イメージ的にも、アウディはクワトロと砂漠を結びつけるのが好きなようで、2005年に登場した「Q7」の国際試乗会もドバイの砂漠だった。
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