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年末の「音楽特番」、旧ジャニだらけの気になる事情 くっきりわかれるテレビ局の対応から見えるもの

東洋経済オンライン / 2023年12月2日 12時0分

そんな納得感に欠けた心理状態で、被害者救済も新体制も進まない中、年末の大型音楽特番に所属タレントが次々にキャスティングされていけば、SMILE-UP.と各局への批判が再燃するのは当然なのかもしれません。

批判のトーンダウンで起用のチャンス

振り返ると、旧ジャニーズ事務所と各局への批判が急速に高まったのは、8月29日に行われた再発防止特別チームの会見と、それを受けて9月7日に行われたジャニーズ事務所の会見あたりから。以降、約2カ月間にわたって猛烈な批判を浴びせ続けた“怒り疲れ”からなのか、この1カ月程度は、そのエネルギーがややトーンダウンした感がありました。

さらに大きいのは、各局にとって重要な経済界からの批判も同様にトーンダウンしていること。私が何人かのテレビマンと話した範囲ではありますが、批判がトーンダウンしたことで、「年末の大型音楽特番に起用できるのではないか」「その他の年末年始特番にも起用できそう」という業界内のムードを感じていました。

各局の本音は、「『“推し”が出演するならリアルタイムで見る』という熱心なファンの多い、King & Prince、SixTONES、Snow Man、Sexy Zone、なにわ男子らには絶対に出演してほしい」。0.1%でもコア層(主に13~49歳)の個人視聴率を上げたいから、彼らには何とか出てほしいというのが本音でしょう。

これは若年層の熱心なファンが多い韓国系アーティストも同様ですが、「彼らに頼らなければリアルタイムで見てもらい、視聴率獲得につながる視聴者層が確保できなくなっている」ということ。しかし、旧ジャニーズも韓国系も、「好きな人以外は嫌いな人が多い」という好き嫌いがはっきり分かれるタイプのアーティストが多いだけに、「彼らの重用でライト層のテレビ離れを加速させてしまう」という懸念も指摘されています。

テレビ業界の苦しい現実を物語っている

本来マスメディアであるテレビは、一部の人から強く好かれるタレントより、万人に好かれやすく嫌われづらいタレントを選ぶのがセオリー。一部の人から強く好かれるタレントはライブや配信などの有料コンテンツに強い一方で、無料コンテンツのテレビには不向きと言われる存在でしたが、そこに頼らざるをえないことがテレビ業界の苦しい現実を物語っています。

もしあなたが『ベストアーティスト』にSMILE-UP.の所属タレント6組を起用したキャスティングが強引に見えるとしたら、「日本テレビが目の前の利益を得るために一部の熱心なファンを優先させ、マジョリティの気持ちを後回しにしている」と感じているからなのかもしれません。

ただ、その後回しにされたマジョリティも、音楽特番だけでなく年末年始の番組に多くのタレントが起用されていくにつれて、批判の声をあげていくのではないでしょうか。12月から1月にかけて、各局が被害者救済や新体制構築の進捗度を都合のいいように解釈し、営利企業としての姿勢を押し出すなら、それに伴って批判の声は高まっていくでしょう。さらに、マスメディアとしての公共性や信頼性が失われかねないだけに、今こそ大局的な対応が求められているように見えるのです。

木村 隆志:コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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