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陰謀論や「ディープ・ステイト」が流布する理由 ヤニス・バルファキスも指摘する「封建制」到来

東洋経済オンライン / 2023年12月4日 13時0分

既存の仕組みを一気に破壊し、「いけ好かない偉そうな連中」を「ぎゃふん」と言わせてくれる強い人物を待望する空気が蔓延する背景とは(写真:sunafe/PIXTA)

階級や格差の固定化、社会的地位上昇機会の喪失がもたらす「新しいかたちの貴族制」を、シリコンバレーなどを取材し徹底分析した『新しい封建制がやってくる:グローバル中流階級への警告』(ジョエル・コトキン著)が、このほど上梓された。同書を、アメリカ政治思想史を専門とする井上弘貴氏が読み解く。

トランプの次期政権構想が始まっている

アメリカ大統領選挙を来年に控えた現在、共和党の最有力候補であるドナルド・トランプを支援する80以上もの保守系のシンクタンクや団体が結集し、共和党から大統領を出した場合の政権移行の構想づくりが動き始めている。

「プロジェクト2025」と呼ばれるこのプロジェクトは、アメリカを代表する保守系シンクタンクのひとつであるヘリテージ財団がとりまとめ役を担い、昨年の2022年から開始された。

今年2023年の4月には、同財団がレーガン政権誕生以来、共和党の大統領への移行時や政権奪取の期待がかかる際にとりまとめてきた『マンデート・フォー・リーダーシップ(リーダーへの指示書)』が刊行された。約900ページ、30章からなる同書を、「プロジェクト2025」に賛同する諸団体の論者たちが分担執筆している。

この2023年版指示書のなかには、さまざまな政策提言が書き込まれている。そのなかには、トランプ政権末期に大統領令で実施され、バイデン政権がすぐに撤回した、連邦政府の職員を大統領が容易に解雇できるように身分保障を外すという方針も含まれている。

トランプ政権で行政管理予算局長を務め、現在はアメリカ再生センターという団体を立ち上げているラス・ヴォートが中心に構想しているものであり、これはつまり、来るべきトランプ政権第2期において、第1期の教訓を踏まえ、政権運営にとって好ましくない連邦職員を政権発足直後に大量解雇することを意図したものである。

すくなくとも共和党支持者のなかで、トランプの人気は衰えることを知らない。この背景のひとつには、政府や巨大企業がアメリカの民衆の思いや利益に反したことをしているという不満や怒りが伏在していると言える。

陰謀論とひもづいた表現である「ディープ・ステイト」は、日本でもいまや書籍やインターネットで普通に見かける言葉になっている。一般の人びとの手の届かないところにいる少数の人間たちによってこの世の中の政治、経済、社会は牛耳られているという考えを深めているひとは、アメリカに限らず世界のあちこちで増えている。

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