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「走るオフィス」に変貌した、のぞみ号の車内空間 ビジネス席に会議用ブース、EXサービスも進化

東洋経済オンライン / 2023年12月4日 7時10分

「S WorkPシート」は3席分を2席とし、仕切りも付けた(写真:共同)

コロナ禍収束で、人々の移動が復活し、新幹線需要も回復の一途をたどっている。

『週刊東洋経済』12月9日号の特集は「無敵の新幹線」。ビジネスパーソンの移動にはなくてはならない新幹線の「強さ」やサービス、技術力、そして北陸など地方の新幹線からリニアまで、現状と今後の見通しについてリポートする。

東海道新幹線「のぞみ」が進化している。営業運転開始は1992年3月。はや30年を超え、今や平日はビジネスパーソンの“オフィス”化しつつある。

【図表】東海道新幹線の1日当たり本数は2019年度がピーク

この10月、のぞみ7号車の一部が変わった。3人掛け座席の中央席がなくなって2人掛けになり、その間にはパーティションも設置された。ひじや書類が当たらないようにパーソナルスペースを拡大。テーブルもノートPCの入力がしやすいように、手元までスライドできるようになった。

席の名称は「S WorkPシート」。従来ある「S Workシート」のグレードアップ版だ。追加料金として指定席料プラス1200円が要る。

声を出してのリモート会議も可能に

座席だけではない。7号車と8号車の間にある個室の「ビジネスブース」は、試験導入中だったが10月から順次本格導入。2024年度中に最新車両のN700Sのすべてに取り入れる。

そこでは声を出してのリモート会議や電話、複数人数での打ち合わせも可能だ。電源はもちろん、スマホを急速充電できるUSBポートまである。

こちらは乗車後、座席に備え付けてある、QRコードなどから予約して利用する。料金は10分当たり200円を支払えばよい(30分まで。以降は10分300円)。

現状、東海道新幹線のビジネスと観光の利用比率は6対4だが、のぞみの平日朝・夜はビジネスの比率がそれ以上に高い。さらにJR東海は東京駅や品川駅、新大阪駅などの主要駅で、リモート会議などが可能なブース型(1人用)やラウンジ型(複数用)のワークスペースも整備している。

S WorkPシートは、リクライニング角度を通常席より小さくしており、旅行帰りにシートを大きく倒してぐっすり寝たい乗客には不満かもしれない。“少しでも隙間時間を仕事に充てたいような”ビジネスパーソンにターゲットを絞った座席なのである。

ワゴンの車内販売が廃止された必然

東海道新幹線の場合、1日当たり列車本数のピークは2019年度だった。コロナ禍明けで回復しているが、実は輸送能力は限界に達しつつある。「今後求められるのは量から質」(JR東海幹部)。そのため効率性を重視し付加価値を高める戦略にシフトする。

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