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赤字続く老舗・松竹、歌舞伎も映画も振るわぬ実情 コロナ禍で大打撃、4期ぶりの黒字復活なるか

東洋経済オンライン / 2023年12月5日 7時30分

活気を取り戻しつつある歌舞伎座。新型コロナによる座席制限を解除したものの、団体客の戻りは鈍い(撮影:今井康一)

名門が復活する日はいつ訪れるのか。

【図表で見る】コロナ禍以降、松竹では本業の赤字を不動産事業で補う構造に陥っている

今年5月、松竹の19年ぶりとなる新社長に就任した髙橋敏弘氏は、コロナ禍での業績低迷について「今年までは本当につらかった」と振り返る。

松竹の2023年2月期の売上高は前期比8.9%増の782億円に伸びたものの、営業損益は7.7億円の赤字と、3期連続の赤字に沈んだ。

コロナ影響がほとんど薄れた今期は4年ぶりの営業黒字化を見込むが、10月12日には業績予想を下方修正した。映画興行収入が当初の想定を下回り、一部映画館が台風の浸水被害を受けたことなどが要因だ。修正後の営業利益予想は13億円と、40億円以上を稼いでいたコロナ前の水準には到底届かない。

コロナ禍以降、歌舞伎の団体客が減少

松竹ではコロナ禍以降、本業である映像関連事業や演劇事業の赤字を、不動産事業の利益で補う状況が続いてきた。休業要請に伴う協力金収入や補助金もほとんどなくなる今期は、まさに自力で立て直せるかどうかの分水嶺にある。

喫緊の課題は演劇事業だ。演劇事業単体で見ると、今上期(3~8月)も赤字が続いている。

髙橋社長は「一般のお客さんは問題なく回復しているが、団体客のお客さんが減っている」と分析する。コロナ禍を経て、団体で歌舞伎を見に行く風潮が薄れたことが一因のようだ。

団体客減少の影響は甚大だ。同業幹部は「今の歌舞伎座は日曜のお昼ですら席が埋まっていない。われわれが心配してしまうほどだ」と漏らす。

さらに11月には、歌舞伎俳優の市川猿之助氏が両親への自殺幇助の罪で有罪判決を受けた。猿之助氏は歌舞伎を現代風にアレンジした「スーパー歌舞伎II」の演出で中心的役割を果たしてきた。

松竹にとっては、若いファンの開拓という課題を克服するうえで重要なコンテンツだが、2024年2月から予定されていた期待作『鬼滅の刃』の公演は中止が決定している。今後のスーパー歌舞伎の見通しについて髙橋社長は「まだ決まっていない。新しい形での展開などは考えている」と話す。

演劇と並ぶ柱である映画事業も、苦しい状況に立たされている。

松竹が2022年に配給した作品は全34本で、興行収入は168億円だった。32本の配給で興収628億円を稼いだ東宝や、22本の配給で興収325億円だった東映とは開きがある。

ライバルとの差を生んでいる要因の1つが、アニメだ。

近年は映画興行収入ランキング上位をアニメ作品が占める状況が続き、『男はつらいよ』などの実写映画の製作・配給に強みを持つ松竹にとっては逆風だ。髙橋社長も「われわれは『ジャンプ』作品や定番アニメ(の版権)を持っているわけではないのでなかなか厳しい」と、苦しい胸の内を明かす。

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