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赤字続く老舗・松竹、歌舞伎も映画も振るわぬ実情 コロナ禍で大打撃、4期ぶりの黒字復活なるか

東洋経済オンライン / 2023年12月5日 7時30分

対照的に、アニメブームの波に乗っているのが、業界で圧倒的シェアを誇る東宝だ。2024年2月期は『名探偵コナン』新作映画の大ヒットなどにより、最高益更新も視野に入る。ジブリや新海誠監督の作品をはじめ、子供向けの定番アニメも複数配給している。

コロナ禍で発表した中期経営計画では、アニメを「映画・演劇・不動産」に続く第4の柱と位置づけ、配給に限らず、アニメの“製作(出資)”に力を入れる。12月映画公開予定の人気アニメ『SPY×FAMILY』では、製作幹事会社にもなっている。

東宝が演劇でも利益を上げる理由

映画の好調により、いち早くコロナ影響から脱した東宝だが、映画と演劇の両方を手がけるという意味では松竹と同じだ。東宝は自社で保有するアニメ版権を演劇でも活用するなどして、演劇単体でも着実に利益を積み上げる。

東宝関係者によれば、演劇は「最初の公演で衣装やセットに大きな費用がかかるが、再演を繰り返すことによってそれらを回収していく」ビジネスモデルだ。ただし、劇場は2~3年ほど前から押さえておく必要があり、作品が思わぬヒットとなっても、映画のように急きょロングランに変更することはできないという。

演劇で利益を出すには、単に演目数を増やすのではなく、準備段階から確実に集客が見込める人気演目をそろえておく必要があるわけだ。ファン層が厚いアニメを、演劇でも積極的に取り入れる東宝の戦略は、その意味でも理にかなっていると言える。

東宝に後れを取る松竹もアニメタイトルの歌舞伎化などに力を注ぐ。コロナ禍で離れた歌舞伎の団体客需要がすぐに回復するとは考えにくいが、意外にも髙橋社長は「来期は大丈夫なんじゃないかな」と楽観的だ。

背景にあるのはインバウンド需要の拡大だ。日本政府観光局(JNTO)の発表によれば、2023年10月の訪日外国人客の数は251万6500人(推計値)となり、単月ベースでは新型コロナの感染拡大以降初めて2019年の水準を超えた。

“若返り”で新風を吹き込めるか

松竹では、これらインバウンド需要を取り込むための施策として、「ナイト歌舞伎」という夜の歌舞伎公演を準備しているという。通常の歌舞伎は4時間ほどかかることが外国人観光客にとってのハードルとなっているため、ナイト歌舞伎では21時頃から1時間半程度の公演を想定しているようだ。

現状の歌舞伎座の外国人客の割合は2%程度といい、今後いかにこの割合を増やせるかがカギになる。

前社長の迫本淳一会長は70歳で、髙橋新社長は56歳。19年ぶりの社長交代で、大きく若返りも果たした。

400年の歴史を持つ歌舞伎だが、髙橋社長は「伝統を守っていくということは、新しいことを入れていくことだ」と話し、歌舞伎の言語障壁を乗り越えるための生成AIの活用などにも積極的に取り組んでいく構えだ。

コロナ禍から明けた今、松竹は再成長への道筋を描けるのか。伝統維持と業績回復という新社長に課せられた責務は非常に重い。

※髙橋社長のインタビューを東洋経済オンラインにて12月6日に配信予定

髙岡 健太:東洋経済 記者

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