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M7級の大型地震でもフィリピンが騒がない理由 震源地が首都から遠く被害報告も少ない、高まらない関心

東洋経済オンライン / 2023年12月5日 17時0分

フィリピン・ミンダナオ島の北東部にある南スリガオ州で、発生した大型地震により避難してきた人たち(写真・新華社/共同通信イメージズ)

フィリピン南部ミンダナオ島の沖合で2023年12月2日夜、強い地震が発生し、日本でも津波注意報が発令された。

日本の気象庁はマグニチュード(M)7.7、アメリカ地質調査所(USGS)はM7.6と発表し、フィリピン火山地質学研究所は7.4とした。いずれにしろ阪神・淡路大震災がM7.3だったことを思い起こしても、大規模地震に違いなかった。

フィリピン火山地質学研究所によると、発生は12月2日午後10時37分(現地時間)ごろ。震源は南スリガオ州東沖合で、深さ2キロメートル。最大64センチメートルの津波が観測された。

フィリピン国家災害リスク軽減・管理協議会(NDRRMC)によると、12月4日午後8時現在、妊婦1人の死亡と12人の負傷が確認され、被災は455世帯1874人。余震は最大M6.7を含め2047回を記録した。

地震の規模に比して被害は少なく感じるが、現地メディアを見ていても、実際に被害が少なかったのか、報告が遅れているだけなのか、判然としない。

爆弾テロも発生し…

同じミンダナオ島の南ラナオ州マラウィ市にある国立ミンダナオ大の体育館で12月3日午前、爆弾テロがあり、4人が死亡、50人以上が負傷した。この事件に隠れるように、今回の地震のニュースは現地でも目立った扱いにはなっていない。

環太平洋火山帯に位置するフィリピンには列島を南北1600キロメートルにわたって縦貫するフィリピン断層など多数の活断層があり、さらにフィリピン海プレート、ユーラシアプレートなどのプレート群に囲まれている。

日本に劣らぬ地震大国だが、8000人以上が死亡したとされるミンダナオ島地震(M7.8、1976年)や1600人が犠牲になったルソン島中部地震(M7.6、1990年)などのド級の被害が出ない限り、国民の関心が高まることはない印象だ。

報道量は、テレビ番組をときに中断して仔細に情報を伝える日本とは比べるべくもない。

先月17日にもミンダナオ島西ダバオ州沖合でM6.8の地震が発生し、11人が亡くなったが、地元メディアの続報は少ない。今回も発生後の報道はNHKなど日本メディアやロイター、AP通信といった外国通信社の報道の方が迅速だった。

自然災害に対する国民の諦念

フィリピン政府の地震観測体制が脆弱で、国民に十分な情報提供ができないことに加え、メディアの体制にも問題がある。報道機関はマニラ首都圏に一極集中しており、ミンダナオ島など遠隔地での被害には鈍感だ。

経費面もあって現地に記者やカメラマンを派遣する新聞社などが限られている。さらに言えば記者や編集者だけではなく、読者や視聴者も直接揺れを感じない限り関心は薄い。日本のように災害後に、団体に属さないボランティアが週末に現地に駆け付けるといった話もほとんど聞かない。

地震に限らず、台風や火山の噴火などで世界規模の災害が相次ぐフィリピンでは、国民に一種の諦めがあるようにも感じる。災害は防げるものでなく、運命との受け止めだ。

今回の地震も、実際に被害が少なかったことを祈るばかりだ。

柴田 直治:ジャーナリスト、アジア政経社会フォーラム(APES)共同代表

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