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英ヴァージンも参戦?「英仏国際列車」が大激戦に 30年間独占の「ユーロスター」に競合が続々

東洋経済オンライン / 2023年12月8日 6時30分

同社は、オランダの起業家マールテン・ファン・デン・ビゲラール氏と、その息子のレーマー氏によって率いられ、アメリカやスイスの投資会社から支援を受けているという。運営の中枢にオランダ鉄道(NS)の元取締役を抜擢したのをはじめ、運行を予定している各国の鉄道会社に在籍した経験を持つ専門家を引き抜くなど、人事面でもすでに動きを見せている。

鉄道同士の乗客争奪戦にはならない?

同社の計画ルートはイギリスと欧州大陸間だけでなく、ユーロスターと合併した高速鉄道「タリス」のフランスとベルギー、オランダ、ドイツを結ぶ路線のうち、ドイツ方面を除く全方面と競合しており、運行が実現すればユーロスターの強力なライバルとなることは間違いない。

だが、同社の分析では鉄道会社同士による乗客の奪い合いになるのではなく、ほかの交通機関から旅客が鉄道へシフトすることにより、鉄道全体の需要が45%増加することになると試算している。オランダのマーケティング会社マーヴェルテスト(Marveltest)社の調査結果によると、ヨーロッパに居住する人たちの50%以上は、2時間以内の移動には環境に優しい鉄道を選択すると回答しており、利便性や利用機会(運行本数)の増加により、さらなる需要拡大を期待できる。現在、ユーロスター1社独占となっている4都市間の列車は、時間帯や曜日によってほぼ100%に近い列車が満席となっており、需要拡大は十分期待できる。

Heurotrain社は、まだ具体的なことについて公表はできないとしつつ、公正で透明性のある価格設定とするとしており、財政的な負担を増やす恐れのあるいたずらな低価格競争をすることはないと示唆している。一方で、座席やインターネットなどサービス面においては、最新かつ最高水準のものを目指すと付け加えている。

これで3社もの会社がイギリス―欧州大陸間の列車運行へ名乗りを上げた形となったが、11月20日、今度は思わぬところからニュースが飛び込んできた。スイス国鉄の国際旅客輸送部門の責任者であるフィリップ・メーダー氏が、イタリアのパルマで開かれたシンポジウムの席上で、ロンドンへの直通列車の運行を検討していると語ったのだ。

スイスは現在、欧州の10カ国・約120都市と列車で直結しているが、鉄道の需要が年々拡大していることから、さらなる運行地域拡大を計画している。これまでもハンブルクやウィーンなど、鉄道で移動するにはやや時間のかかる都市であっても利用者数が多い路線があり、フランスとスイスを結ぶ高速列車TGVは最大で1日1万8000席を提供してきた。イタリア方面も、ジェノヴァやボローニャへ延長運転を開始し、いずれも滑り出しは好調だ。また、チューリヒからローマやバルセロナへは、まもなく夜行列車の運行を開始する予定だが、これらはかつて利用者数の低迷で廃止された列車が復活する形となる。

競合で鉄道活性化なるか?

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