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デザイン思考の壁を突破する哲学シンキングとは 哲学はビジネスの場面で大いに活用できる

東洋経済オンライン / 2023年12月19日 14時0分

ステップ1は、ユーザーやその周辺環境に対する「観察・共感」に始まりますが、ここにはユーザーの思いを調査し、把握することを重視する姿勢があります。しかしながら、ただユーザーの声に耳を傾けるだけでは表面的な成果しか得られませんし、まだ見ぬ未来の課題やイノベーションの種をユーザーがもっているとも限りません。

また、ステップを形式的に踏むだけでは、もともとの思考の限界を超える良質なインサイトや着眼点は出てきません。その場合、ステップ2の問題定義は平凡なものにとどまり、ステップ3でアイデアを出そうとしても、思考のフレームをはみ出る革新的なアイデアは出てこないでしょう。

仮に、ステップ1の「観察・共感」からさまざまなインサイトや着眼点を得られた場合も、その解釈の仕方が複数あったとしたら、ステップ2でどのように問題を定義したらいいのかという問題もあります。

ステップ3の「アイデア創造」では、ある問題定義に対していろいろな問題解決のアイデア候補を列挙したとしても、それらのうち何をどのように選べばいいのでしょうか。

企業側の思いやビジョンが求められている

こうした問題点に対する対処策は、ユーザーが何を求めているか深く知るための本質的な問いを立てること、そして企業側が「自分たちはどんなことに問題を見出し、何を実現したいのか」を明確化することです。

ユーザーへの「観察・共感」も重要ですが、どのように問題定義し、どんなアイデアを採用するかは企業側の価値基準次第です。ユーザーが何を欲しているかだけではなく、企業側の思いやビジョンが求められつつあります。

もしそうした基軸がなかったとしたら、たまたま選択された問題定義やアイデアが、プロジェクト全体や会社全体の方針と齟齬を起こすこともありえます。近視眼的にはある特定の問題を解決するように見えても、中長期的に利益よりも損失のほうが大きくなることもあるかもしれません。

こうした諸問題に対して哲学シンキングは、その解決策=ソリューションとなりうる思考法です。

メソッドや企業での導入例は書籍に譲るとして、ここでは用途を紹介すると、先の図のようにデザイン思考のプロセスに取り入れることで、上記の問題点を解決する手立てとなります。

「なんのために自分たちはこのプロジェクトを進めるのか」「このプロジェクトを通じて何を実現したいのか/したくないのか」「コンセプトやキーワードについてチームで同じ意味を共有できているか」「チームメンバーが本音を語り合い、結束力の高いチームビルディングを実現できているか」など哲学的に問うことで、思考のフレームを拡張したり、立ち返るべき理念や価値判断の基準を確立したりすることができます。

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