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コレステロール値「高めを放置」する人の怖い真実 専門医が解説「医学的根拠に基づく5つの対策」

東洋経済オンライン / 2023年12月19日 18時0分

これらの結果に基づき、以下が定義された。

★総コレステロール値220mg/dLは高脂血症(脂質異常症)。

★発症予防では、総コレステロール値240mg/dL以下、LDLコレステロール値160mg/dL以下、HDLコレステロール値40mg/dL以上を治療目標とする。

★再発予防では、LDLコレステロール値120mg/dL以下、HDLコレステロール値40mg/dL以上を治療目標とする。

だが、この定義に対して、日本脂質栄養学会がかみついた。

同学会は『長寿のためのコレステロールガイドライン』において、「総コレステロール値あるいはLDL‐コレステロール値が高いと、日本では何と総死亡率が低下する。つまり、総コレステロールは高い方が長生きなのである」と提言したため、論争となったのだ。

この論争について寺本さんは、「コレステロールと病気の関係を示したグラフの解釈や、そのほかの評価において解釈の違い」と述べる。

前出のグラフを見るとわかるが、試験結果は“Jカーブ”という、コレステロール値の高いほうと低いほうの両側で死亡率が上がるという軌跡を描いた。総コレステロール値220〜240mg/dLのグループが最も死亡率が低く、それよりも高くても低くても死亡率が上がっていた。

そのため同学会は「220mg/dL以上を病気と定義するのはどうか」と異論を唱えたのだ。「コレステロール値が高くても薬を飲む必要はなく、むしろコレステロール値が低いと死亡率が高まる」という主張だった。

だが、この試験の被験者はコレステロール値が高いだけではなく、高血圧、高血糖値、肥満を併せ持つ人も含まれていた。コレステロール値単独と死亡率について見ただけではない。

「220〜240mg/dLで死亡率が低くなったのは、食事、運動、薬物療法によってコレステロールをコントロールしたことで、ほかの症状も改善できたからだといえます。値が高い人たちはコントロールがうまくいかず、死亡率が上がったのでしょう」と寺本さん。

実際、LDLコレステロール以外の主要危険因子(高血圧、高血糖値、肥満)が1つ増えるごとに心筋梗塞の発症リスクが倍増することは、J-LITの結果でもわかっている。

低値なのに死亡率が高い理由

コレステロールの低値で死亡率が高かったのは、肝臓病との関連があり、その後に肝がんを発症したケースがあることが日本の研究で判明している。アメリカでは、タバコなどで生じる呼吸器の病気COPD(慢性閉塞性肺疾患)が多いこともわかっている。

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