報酬を払うとアウト?意外と知らない「ステマの罠」 「トラブル」を回避する法律知識と正しい対応
東洋経済オンライン / 2023年12月19日 9時30分
一般の消費者は、広告を信頼して商品・サービス選びの参考にしています。仮に広告にうそが混じっていれば、それにだまされた消費者は不利益を被ります。このような不利益を防ぐために、景品表示法という法律が設けられています。
本件については、景品表示法に違反しているということになります。
上記の自治体がやっていた動画を使ったプロモーションは、報道のとおり「ステマ」ということになります。「自治体の関与が容易に判断できるため、ステマには該当しないと認識している」というコメントは、正当性がありません。
これまでステマに関して、「不適切である」との指摘はされており、消費者庁のガイドラインでも「問題になる」との指摘もありましたが、これを直接規制する法律はなく、あくまで業界の自主規制に委ねられていました。しかし、2023年10月より、ステマ(一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示)が規制の対象となりました。
これにより、関係者が第三者を装って口コミ投稿したり、対価を受けたインフルエンサーが「広告」「プロモーション」「PR」「A社からの商品の提供を受けて投稿している」など、広告であることが明らかである旨を示さずに広告することなどが規制の対象となります。なお、自社商品の高評価依頼だけでなく、他社製品の低評価を依頼することも違反となります。
「ステマの罠」を回避する知識が必要
上記の自治体側は、新聞社の取材を受けた後に、動画の概要欄に「提供:〇〇協議会」と追記し、動画にも「プロモーションを含みます」と明示しました。
最初から、そのように明示していれば、何ら問題はありませんでした。せっかくの記念の年に観光施策を盛り上げようとやったことが、このステマによって視聴者の信用を失墜させてしまったわけです。これは、担当者や管理者がそういう仕組みを知らなかったのでしょう。
インフルエンサー・マーケティングは、当たり前のプロモーション施策として定着しています。著名ユーチューバーなど、影響力が大きく、引っ張りだこになっているインフルエンサーもいます。ただし一方で、その影響力が真実かどうかわからない「自称」インフルエンサーもおり、海外のインフルエンサーに莫大な謝礼を支払ってインバウンド誘致している自治体もあります。
口コミ宣伝という新しい手法にまだ慣れていない方は、インフルエンサーの活用についてはよく検討し、表示にも注意する必要があります。
(構成:間杉俊彦)
北田 明子:広報・PR、危機管理広報アドバイザー
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