千代田区長、自ら清掃業務を担当して見えるもの 清掃リソースは住民の安心・安全に不可欠だ
東洋経済オンライン / 2023年12月20日 11時20分
作業的には流れてくるごみを清掃車に格納する収集ボタンを押し続けるだけなのだが、空気の通りが悪い地下室に貯留機が設置されている場合、作業員は空気中の粉塵を吸い込んでしまう。
取材時に訪れた貯留機は1階の風通しの比較的良い場所に設置されていたため、粉塵に見舞われることはなかった。しかし臭いは健在で、ごみの異臭が漂う中での作業となった。
また、清掃車のバケットからこぼれ落ちるごみを拾い上げる作業もある。樋口区長は率先して拾いあげていた。
貯留機からの収集終了時、付近に居住する住民と樋口区長、作業員らが歓談するシーンも見られた。
これこそが清掃職員の真骨頂であり、ごみの収集のみならずリアルタイムの地域情報も収集できる機能を有することが体得された。
実際に千代田区では、集積所までごみや資源物を出すことが困難な高齢者などを対象に、見守り活動も兼ねて清掃職員が自宅を訪問する「ふれあい収集」を行っている。これは全国的にも広がりを見せる住民サービスだ。
「ふれあい収集」で福祉サービスにもなる
筆者は他の自治体でふれあい収集を体験した経験がある。その時は週1回訪問してくる清掃職員が唯一の話し相手で、わずか2~3分の会話を楽しみに待っている高齢者宅を訪問した。
「おばあちゃん、元気にしてた?」から始まる何気ない会話を楽しみに、お化粧をして待っていた高齢者の姿が今でも目に焼き付いている。
今回の取材時は優良賃貸住宅に居住する高齢者宅を訪問してごみを収集した。区長直々の訪問に驚いた住民は「わざわざありがとうね」と深々と謝意を述べていた。
このふれあい収集業務はごみ収集が福祉サービスに進化を遂げた形で、今後充実が期待される。
樋口氏は千代田区長選挙に38歳で当選し、現役の区長の中で最年少区長である。幼少期から読書を趣味とし、自身を「本の虫」と自称する。感銘を受けた本やさらに詳しく学びたいと思う時には、著者に会いに行くこともあるという。
京都大学在学中に政治に興味を持ち、大嶽秀夫ゼミに所属。現場を学びたい思いから兵庫県に選挙区のあった小池百合子氏のインターンを4年間行った。
当時はポスター貼りやポスティングに始まり、小池氏から地域の盆踊りで炭坑節を教わるなど、政治の現場の泥臭さを肌で感じ取る経験を積んだ。
このような経験を踏まえ樋口氏は、「政治家は都市であれ中山間地域であれ、現地を歩いてその空気を吸い、地元の鼓動や人々の息吹を感じることが肝要だ」と考えるようになった。
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