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わずか2年で「6割値上げ」名物ラーメン店主の激白 インボイスも影響、消費税抜きで1000円の壁超え

東洋経済オンライン / 2023年12月22日 12時0分

このときは博多ラーメンが690円で、なんとランチタイムは替え玉が無料だった。これほどまでのクオリティの豚骨ラーメンがこの価格であることに驚いた記憶しかない。

そこから2年半の時が流れ、同じラーメンが1100円になった。690円時代と比較すると、約60%の値上げである(もちろんこれは「博多ラーメン」の話であり、他の商品の値上がり率はそれぞれ異なる)。

店主の甲斐さんはこの約2年で何を思ったのか取材した。

「こんなに美味しいのになんで無名なの?」

まずこの約2年について、甲斐さんは次のように振り返る。

「20年以上博多ラーメンを作ってきていますが、2年前ぐらいまでは鎖国状態で他のラーメン店の方とはまったく交流をしていませんでした。

コロナ禍で、SNSを中心に少しずつ交流するようになり、見聞を広める意味でもこれからは積極的に人に会おうと思ったんです。そうしてよく言われるようになったのが『なんでこんなに美味しいラーメンを作っているのに無名なの?』ということです」(甲斐さん)

確かに筆者も2021年当時、「でぶちゃん」のことはまったく知らず、店の前から漂う豚骨の熟成臭が気になり店に入ったのだった。

甲斐さんはもちろん自信を持って作ってきたつもりではあったが、外から評価を受けることで改めて豚骨ラーメンの素晴らしさを再認識したのであった。

「あるときフレンチの有名なシェフと出会い、美味しいラーメンを作ってるんだからもっとアピールしていかないとダメだと言われたんです。『俺のラーメンがNo.1だと言い続ければいつかそうなる日が来る』と言われ、考えが変わっていったんですよね」(甲斐さん)

確かに自分のラーメンの作り方を客観的に見ると、簡単に教えられるものではない。20年以上作ってきたからこそ築き上げられた技術なのだ。

この技術は他のラーメンにないものだし、もっと誇ったほうがいい……。甲斐さんは、自分のラーメンを690円で提供するのでは価値に見合っていないと気付いたのだという。

そこで2022年6月のお店の5周年のタイミングで、博多ラーメンを850円に値上げした。

初めは高いと言われることもあったが、物価高騰の中、都内では850円の博多ラーメンは当たり前のものになっていった。

このラーメンは自分しか作れる人がいないという誇りを持ちながら、昨今のラーメンの「1000円の壁」問題の話題を見るたび、まだこのままではダメだという思いが続いていた。

インボイス制度がラーメン店の経営に影響する理由

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