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わずか2年で「6割値上げ」名物ラーメン店主の激白 インボイスも影響、消費税抜きで1000円の壁超え

東洋経済オンライン / 2023年12月22日 12時0分

そこでさらに甲斐さんの気持ちを変えたのが、今年10月に施行されたインボイス制度だ。

世の中が「税込み」「税別」の金額を強く意識する考え方に切り替わっていくこのタイミングで、甲斐さんは税抜きで「1000円の壁」を超えることが必要だと考えた。

通常のラーメン店で、価格は税込みで表示されていることがほとんどだ。例えばメニューに「ラーメン 850円」と書いてあって、お会計のときに「935円です」と言われたらどう感じるだろうか? こういうときは筆者でも正直一瞬戸惑う。同じく若干違和感を覚える人は多いはずだ。

消費税を払うことは当たり前のはずなのに、なぜかラーメン店だとお客側の消費税の感覚が抜けてしまう。

インボイス制度で世の中が消費税を強く意識するこのタイミングで、甲斐さんは税抜き1000円、つまり1100円で打ち出すことに決めた。

「1100円のラーメンでも、お店がいただけるのは1000円です。税込み1000円では『1000円の壁』を超えたとはいえない。それを業界全体に意識付けたいなと。

私が調べた限り、博多ラーメンで1100円をつけているお店はないと思います。いつかはそういう時代が来るとは思っていますが、他力本願ではなく、自分がプライスリーダーになることを決意したんです」(甲斐さん)

ラーメン業界全体への提案でもある

これは「でぶちゃん」の今後を考えての選択というだけではなく、ラーメン業界全体への提案でもある。

博多ラーメンが東京では1100円で出せる食べ物であることを証明するとともに、食材費だけではなく、職人の“技術”も価値であるということを伝えたいという思いが大きい。

「博多ラーメンは価格の面では清湯系にかなり後れをとってきました。店の雰囲気やしつらえなど、ラーメン以外の部分も大きかったと思います。
ですが、それを落ち度とは捉えず、食べてくれたお客さんがクオリティが価格に見合っているか納得してもらえればいいと考えています」(甲斐さん)

博多ラーメンは原価をかけるのではなく、“技術”だけで美味しくできるため、安く提供すべきものだという思いが甲斐さんの中にもあった。だが、これからのラーメン業界の発展を考えたときに、技術に見合った価格をつけることが必要だと強く思ったのだという。

豚骨ラーメンの世界からの評価が高まり続ける一方で、「ラーメンは国民食」という意識が強いためか価格がついてこなかった歴史。それをひとつのお店の動きから変えようという思いだ。

井手隊長:ラーメンライター/ミュージシャン

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