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後悔だらけの人生を送っている人が知らない事実 生きることは後悔を重ねることだった

東洋経済オンライン / 2023年12月29日 15時0分

このように、後悔のプロセスを牽引するのは、時間旅行をする能力と、過去の出来事を書き換える能力だが、そのプロセスが完了するまでには、さらに2つのステップを経なくてはならない。その2つのステップが後悔とほかのネガティブな感情の違いを生む。

後悔を生み出す2つの能力と2つのステップ

ひとつ目は、比較するステップだ。前出のバージニア州の女性に話を戻すと、この女性がいま悲惨な状態にあるだけであれば、後悔の感情は生まれない。この場合、女性がいだく感情は、悲しみだったり、憂鬱だったり、絶望だったりする。その感情が後悔に転じるのは、タイムマシンに乗って過去に戻り、そのとき別の行動を取っていた場合に実現したと思われる結果と、現在の悲惨な状況を比較したときだ。

もうひとつは、その状況が誰の責任なのかを分析するステップである。人はたいてい、他人の行動ではなく、自分の行動を後悔する。ある有力な研究によると、人々がいだく後悔の約95%は、外的環境ではなく、自分がコントロールできる状況に関わるものだ。

バージニア州の女性は、現実の不満足な状況と、想像した別のシナリオを比較し、不満を感じている。それは後悔をいだくうえで不可欠なステップだが、それだけでは後悔は生まれない。

この女性が後悔の領域に完全に足を踏み入れるにいたった決め手は、別のシナリオが実現しなかった理由にある。いまこの女性が苦しんでいる原因は、過去の自分自身の選択と行動にあるのだ。この点こそ、落胆など、ほかのネガティブな感情と後悔の決定的な違いだ。さまざまなネガティブな感情のなかで、後悔がとりわけ人を激しく苛む理由もここにある。

こうして、ほかの動物がもっていない2つの能力を土台に、ほかのネガティブな感情とは異なる2つのステップを経ることにより、人間しか経験しない、ほかの感情とはまったく異なるつらい感情が生まれるのである。

人間の認知的仕組みは後悔するようにできている

このように説明すると、いかにも複雑なプロセスのように思えるかもしれないが、この感情は、ほとんど意識することなく、まったくと言っていいほど労力を払うことなしに生まれる。

後悔を感じることは、人間の本質の一部なのである。オランダ人研究者のマルセル・ズィーレンベルグとリック・ピーテルスの言葉を借りれば、「人間の認知的な仕組みは、後悔を感じるようにできている」のだ 。

人間にはこうした認知的な仕組みが備わっているために、後悔すべきでないとしきりに説かれているにもかかわらず、人が後悔の感情をいだくことは非常に多い。

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