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「ヤバい温暖化」に本気で挑む23歳化学者の生き方 10歳からはじめた研究活動はもうすぐ14年目

東洋経済オンライン / 2024年1月3日 10時30分

一方、後者の研究は電気化学還元といって、世界でもまだブルーオーシャンの領域です。これも仕組みは簡単で、電極を刺した水槽の中に二酸化炭素が溶け込んだ水を入れて、乾電池くらいの電圧をかけるだけで二酸化炭素がエタノールに変わる反応です。電極材料は10円玉にも使われている銅と、炭素の棒でもできるので、1リットル130円くらいで安く作れる可能性があります。こちらが実現できればすごいことになって、石油燃料を合成できるだけでなく、石油製品と呼ばれているものも作れます」

二酸化炭素が地球と人類を救う!?

その過程で二酸化炭素を排出してもまた燃料に替えればいいので、トータルで考えれば、二酸化炭素の量は化石燃料がメインの現在よりも格段に排出量を減らすことができる。二酸化炭素からエネルギーや生活必需品を作り出せて循環させることができれば、人類の味方になるだろう。

「本にも書きましたが、できない理由を探すんじゃなく、できる理由を探し続ければいいんです。そうすれば、人が想像できることはなんだって成し遂げられるはずです」

二酸化炭素のせいで人類が滅びるどころか、逆に二酸化炭素によって人類は生き残れるかもしれない。そんな理想の世界を実現して維持するため、村木さんにはさらに壮大な構想がある。二酸化炭素を集めて貯めたマイルで物が買える「二酸化炭素経済圏」を作ることだ。実際、CRRAではひやっしーで二酸化炭素を集めた人に「ひやっしーマイル」を提供している。集めた二酸化炭素の量に応じて貯まったマイルは、電車に乗ったりコンビニやカフェでの買いものに使用することもできるのだ。

村木さんが10歳からはじめた研究活動はもうすぐ14年目を迎える。何度も失敗を繰り返してきた研究は、1人で続けられたわけではない。著書『火星に住むつもりです〜二酸化炭素が地球を救う〜』の最後には、子どもの頃から二酸化炭素の研究を応援、協力してくれた家族、先生、企業関係者をはじめとした多くの大人たちへの感謝の言葉がつづられている。「どうせムリ」「やっても無駄」と子どもの可能性を潰す大人の言葉をスルーしてきたからこそ、世紀の発明に挑めたのだ。

「地球温暖化は研究者たちと一緒に自分たちで止める」と、村木さんたちの取り組みを自分事として応援し、支援する人がもっと増えれば、2030年までに温暖化を止める奇跡が起きるかもしれない。

樺山 美夏:ライター・エディター

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