1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

JAL機と海保機が衝突し羽田炎上、経営への影響度 Uターンピークの事故で空港大混乱、広がる余波

東洋経済オンライン / 2024年1月3日 18時30分

なぜ滑走路上で衝突事故が発生してしまったのか。

「かけがえのない職員の命を失ってしまったことは痛恨の極みである」。1月2日夜に国土交通省が開催した会見で、海上保安庁次長の瀬口良夫氏は一礼をした。

事故の原因については、「確認中」と明確な回答を避けた。同日、続けて国交省内で行われたJALの会見で青木紀将常務執行役員は、「(管制からの)着陸許可は出ていたと認識」していると説明した。

影響は翌3日にも及んでいる。JALと全日本空輸(ANA)をはじめ多くの国内エアラインが一部運航便の欠航を決めた。年始のUターンピークに欠航となっただけに交通網は混乱している。

また、3日現在も滑走路上には大破した機材が残っており、事故が起きたC滑走路の運航再開のメドはたっていないとJAL側は説明している。

JALは短時間で乗員・乗客の脱出に成功した。一方で、エアバス製の主力機材「A350-900」を1機失った。今後の運航や経営への影響はどの程度あるのか。

主力機材を失ったJALの「マイナス影響」

2日の会見で青木常務は、「供給面でのマイナス影響はある」と語っている。というのもA350‐900は、JALの国内線機材の中では最も大きい機材で座席数は最大391席を誇る。

羽田と福岡や新千歳、伊丹を結ぶ路線など国内の主要路線に投入してきた。そのほかの国内線機材の座席数は300席未満である。

また競合であるANAは1月10日からプラット&ホイットニー製のエンジン不具合問題を受け、一部機材の運航を停止する。3月30日までは国内線の3.9%が減便予定となっている。

2023年10月に開催された決算会見で斎藤祐二取締役専務執行役員は「(ANAの)供給が減っていくことがあれば需給は引き締まる。(JALにとって)収入のアップサイドが見込める」とコメントしていたが、状況は変わってしまった。

ただ、そもそも年始を過ぎれば、1月から3月はエアライン各社にとっては閑散期。またJALはA350‐900を現在は15機保有している。一般的に1〜2機は使用せず、予備機材としている。機材のやりくり次第では影響は最小限に抑えられるだろう。

A350は所有機材とみられる

一方で、JALが機材の損失を計上する可能性はある。JALは今回の事故で炎上したA350‐900の購入価格は開示していない。ただエミレーツ航空が2023年12月に発表したデータによると同社はA350‐900、15機を60億ドル(8500億円)で購入している。一機当たりの価格は約560億円となる。

JALは大破した機材を含めてA350-900を16機保有している。うち12機は所有、4機はリースである。今回の機材は所有機材とみられる。

保険などの状況によっては損失を計上する可能性もある。青木常務は会見で「詳細は確認中」とコメントしている。

3日から国の運輸安全委員会による現地調査が始まるなど事故の原因究明が進んでいる。また羽田空港の一部滑走路が使えない状況が続くなど、事故の余波はまだ広がりそうだ。

星出 遼平:東洋経済 記者

森 創一郎:東洋経済 記者

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください