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「業務を仕組み化」小さな会社が挫折するワケ 「何のために働くのか」を社員は求めている

東洋経済オンライン / 2024年1月4日 16時0分

必然的に規模の拡大をめざすことになるので、私の分類ではレバレッジ経営になります。

一方で、「地域で一番、人の笑顔を作れる歯科医になりたい」と思ったら、どうでしょうか。患者さん一人ひとりへの丁寧な診療や、地域の人々とのコミュニケーションが必要かもしれません。しかしこれなら無理に規模を拡大しなくても、エキスパート経営で「やりたいこと」は叶いそうです。

規模の拡大が必要なレバレッジ経営をめざすのであれば、職人的な仕事のやり方を脱して、仕組み化された組織を作らねばなりません。エキスパート経営でよさそうなら、仕組みは不要かもしれません。

重要なのは、考え方によっては無理に仕組み化する必要はないということ。

まずこの視点を持ったうえで、それでも仕組み化して規模の拡大をめざす場合にやりきれないのが問題です。

なぜそんなことになってしまうのでしょうか。

ここでは主だった3つの原因を見ていきます。

小さな会社は人の入れ替えなど簡単にできない

これは社員数百名を超える規模の、ある会社の話です。

この会社では事業の効率化を考えて、外部の仕組み化コンサルを導入して思い切って仕組み化を進めました。社長は非常に強い意志を持って、組織の問題点を洗い出し、トップダウンで改革に取り組んだといいます。

すると現場からは、相当な不満も出てきました。やることが増えた。管理が厳しくなって精神的につらくなった。和気あいあいとした雰囲気が消えた、など。

しかし社長からすれば、「それは本意を理解していない」「向いている方向が違う」ということで、断固としてやりきったそうです。

もちろん退職者も相応に出ましたが、並行して会社のやり方になじむ人材の採用も進めました。要するに「血の入れ替え」が起こったのです。そして改革の痛みは伴いながらも、仕組み化された強い組織になったそうです。

これは、ありふれた組織改革の一例ですが、この顚末の中には小さな会社と大きな会社の決定的な違いが隠されています。

仕組み化を徹底すれば、その仕組みになじむ人材だけが残り組織が強くなる。そんな話を聞いたことがありませんか? これは、大きな会社に限った話だと思います。

小さな会社はそう簡単に人を減らしたり増やしたりできません。

小さな会社は採用さえままならず、知人の紹介や縁故に頼っていることも珍しくありませんから、人が一人辞めるダメージが、大きな会社とは比較にならないほど甚大なのです。仕組みができるまでの〝過渡期〞を乗り越えるだけの資金的な余裕がない会社も多々あります。

プレイング社長ががんばれば、なんとかなってしまう

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