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山陽電車の「ザ・ターミナル」、山陽姫路駅の存在感 百貨店の巨大ビル2階に頭端式ホームの風格

東洋経済オンライン / 2024年1月4日 6時30分

山陽百貨店の本館はまず1953年、現在の北側部分に地下1階・地上4階の建物が完成して営業を始めた。

『山陽電気鉄道百年史』は「百貨店設立については、当社と姫路駅前に本社を置く神姫合同自動車(現神姫バス)の2社が大部分を出資したほか、地元経済界のバックアップも得てスタートとの計画を固めた」「この建物の竣工が駅前整備の一番手となり、姫路の近代化に大きな役割を果たした」と振り返る。

「巨大ビルが姫路の玄関に」

複数回にわたる増改築を経て、1962年に6階建ての建物が完成。百年史によると「これで創立時の構想だった待望の全館6階、塔屋2階の巨大ビルが姫路の玄関に姿を現した。中央塔屋には高さ17mのコンビナートネオン塔を設置し、山陽電車・神姫バス・山陽百貨店の文字を夜空に輝かせて姫路名物となった」。1991年には隣接する神姫バスとの合同ビル、再開発ビル「キャスパ」がオープン。百貨店の売り場面積は大幅に増加した。

百貨店の2階部分にある駅のホームは頭端式。1番線から4番線まであり、主に1・2番線が普通車、3・4番線が直通特急・特急の乗り場となっている。改札を出ると、同じ階に百貨店の入り口。正面の階段を降りると大手前通りに出る。

山陽姫路駅の森垣泰成駅長は「学生さんからお年寄りまで老若男女問わず、ご利用いただいている。百貨店で買い物をされる沿線の方や、姫路城を目指す外国人観光客も多い」と説明。「山陽電車のターミナル駅で、関西の『西の玄関口』としての役割を果たしている。百貨店を併設していて当社グループとしても重要な位置づけだ」と語る。かつては改札が1階にあり「電車が到着するとお客さんがダーッと降りてきた」(森垣駅長)という。

鉄道営業部営業課の西口尚哉さんは姫路市の出身。電車1編成に4枚のヘッドマークを付けるなど、明石―姫路間の100周年記念イベントを担当してきた。「学生時代に勉強と遊びの両面で利用した、思い出が詰まった姫路駅をぜひ自分の手で祝いたいと取り組んだ」と話す。

百貨店1階の南館がオープン

山陽電気鉄道は2021年に山陽百貨店を株式公開買い付けにより完全子会社化。理由として「不動産の権利関係の整理」「老朽化した設備の更新とリモデルへの対応」「百貨店業の事業戦略の遂行と企業価値の向上」を挙げた。例えば、耐震補強工事などの投資判断をする際に権利関係が複雑なことによる制約を受けるのを避ける狙いがあるという。

2023年4月には1階の神姫バスターミナル跡に百貨店の「南館」がオープン、東西通路も明るいイメージに改装した。JR姫路駅周辺は近年の再開発で駅前の風景が一変した。山陽姫路駅・山陽百貨店も古きよき私鉄のターミナルの雰囲気を残しつつ進化している。

橋村 季真:東洋経済 記者

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