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薬都・富山は?震災が「医薬品供給」へ与える影響度 2年前に珠洲市に本社機能を一部移転の会社も

東洋経済オンライン / 2024年1月5日 20時0分

大地震により、北陸地方にある複数の製薬工場が被害を受けた。道路の寸断などにより、医薬品の配送にも影響が出ている。写真は石川県輪島市の様子(写真:AFP=時事)

元日に発生した能登半島地震は、家屋の損壊などにより多数の死傷者を出した。被災地では、現在も救命活動が続けられている。

【写真で見る】石川県珠洲市に一部本社機能を置くアステナHDのリリース。「現時点では建屋状態を把握することが困難」と記されている

負傷者や、持病がある被災者には、薬の供給も必要となってくる。しかし今回の震災では、複数の製薬企業の生産拠点にも被害が及んだ。

富山の2社の工場で影響出る可能性

「越中富山の薬売り」――。最大震度5強を観測した富山県は、そんな言葉で知られる通り、古くから医薬品産業が盛んだ。今も医薬品製造などに関わる企業が集積している。

富山が地盤のジェネリック大手・日医工は、富山市にある本社の外壁が剥がれる、エレベーターが止まるなどの被害を受けたが、1月3日までに復旧作業を行った。社員の安全は確認済み。富山県滑川市の物流センターは、配送先の医薬品卸などの受け入れ状況を見極めつつ、出荷を調整しているという。

同じく富山市に本社を置く医薬品の原薬製造などを担うダイトも、生産設備や品質管理設備に異常はなく、1月4日から営業を開始している。

アステラス製薬は、当初1月5日からの稼働を予定していた富山市と高岡市の工場について、現在も確認作業を行っている。ただ、医薬品の供給に直ちに影響を与えるような被害は報告されていない。復旧作業と機械の試運転を行った後、在庫状況などに応じて稼働を再開する予定という。

輸液を製造する大塚製薬工場の富山工場(富山県射水市)でも、人的被害はなく、設備点検を継続中だが、とくに不具合は確認されていない。富山市に工場と配送センターがある富士製薬工業も、人的被害、建物の被害ともに認められておらず、設備への影響を確認中だ。

日本製薬団体連合会によれば、富山県内にある2社の工場で今後稼働への影響が出る可能性があるとのことだが、社名は公表していない。

隣の福井県で、震度5強の揺れに見舞われたあわら市には、ジェネリック最大手・サワイグループホールディングスの子会社、トラストファーマテックがある。2023年に本格稼働したばかりで、高尿酸血症治療薬など2品目を製造している。

同社の建物では壁のひび割れや物品の落下が確認され、詳細な被害を調査中だ。工場の機械は1月4日に稼働予定だったが、点検を行うため、来週以降の稼働を見込む。従業員については全員の無事を確認できている。

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